優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!

魔女の恋※35話

「君が好きだ」

ジャーンッと音楽が流れ、次回に続く。
期待させといて、それはない。
私の気持ちが落ち着く所で終わってほしい。
来週までこのドキドキが続くのでしょうか?
ヒロインは御曹司とフリーターの男性のどちらを選ぶのか……。
いや、夢を追いかけることは素晴らしい。
私ならば、全力でバックアップさせて頂く―――そう思うのはフリーターの役が野月(のづき)さん、いえ。渚生(しょう)だからかもしれない。
ピロンッとトークアプリにメッセージが入る。
『今から行くよ』
さきほど、テレビの画面で告白をしていた渚生から。

「ドラマの余韻に浸っていたいのですが」

ドラマが良すぎて、つい本音が出てしまう。
私と彼はいつの間にか一緒に過ごすような仲になっていた。
その先はまだない。
あくまで飲み友達。
それだけ―――それだけ?
それで十分なはずなのに何を期待していたのだろう。
私は。
『わかりました』
と、返事を打ち込んでスマホを閉じた。
しばらくして、渚生が来ると手にはお土産のタイ焼きを持っていた。
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