優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
日奈子さんの膝はすりむけていた。
私を助けてくれたのだ。
この子は。
助けてくれる人なんて今までいなかった。
それなのに―――日奈子さんがきてから、私の周りには優しさで満たされている。
安島を失脚させ、壱哉さんを一刻も早く社長にし、日奈子さんを尾鷹の社長夫人にしなくては。
壱哉さんのためにも日奈子さんのためにも。
そんな思いが湧き上がった。
そのためには私が尾鷹にいる理由はない。
時間の無駄だと考えた。
サッと立ち上がり、秘書室に戻り、荷物を片付けた。
「今園さんがいなくなったら、会社はどうなるんですか!」
日奈子さんは必死に私を止めた。
しばしのお別れですよと言いたかったけれど、言うわけにはいかない。
陰で動く必要があった。
壱哉さんと会長と連携し、安島に気付かれないように追い詰めていくために。
「仕方ありません。私はただの秘書で社長がいらないというのなら辞めるしかないでしょう」
今は会社を辞めるしかない。
不安そうな顔をした日奈子さんの手を握って心の中で呟いた。
―――あなたが壱哉さんの隣に立つ日が早く来ることを願っています、と。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
私を助けてくれたのだ。
この子は。
助けてくれる人なんて今までいなかった。
それなのに―――日奈子さんがきてから、私の周りには優しさで満たされている。
安島を失脚させ、壱哉さんを一刻も早く社長にし、日奈子さんを尾鷹の社長夫人にしなくては。
壱哉さんのためにも日奈子さんのためにも。
そんな思いが湧き上がった。
そのためには私が尾鷹にいる理由はない。
時間の無駄だと考えた。
サッと立ち上がり、秘書室に戻り、荷物を片付けた。
「今園さんがいなくなったら、会社はどうなるんですか!」
日奈子さんは必死に私を止めた。
しばしのお別れですよと言いたかったけれど、言うわけにはいかない。
陰で動く必要があった。
壱哉さんと会長と連携し、安島に気付かれないように追い詰めていくために。
「仕方ありません。私はただの秘書で社長がいらないというのなら辞めるしかないでしょう」
今は会社を辞めるしかない。
不安そうな顔をした日奈子さんの手を握って心の中で呟いた。
―――あなたが壱哉さんの隣に立つ日が早く来ることを願っています、と。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇