優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
「小耶子。なにかあったら、相談して」

「相談?」

「まさか今まで誰にも相談したことがないとか?」

「小さい頃は母に相談していたと思います」

渚生は私の手を握って口づけた。
ぞくりとして、その色香に惑わされそうになる。
危険な人―――そんな顔されたら、私は『はい』としか言えなくなる。

「俺がいること忘れないで」

上目遣いで私をみる目はとんでもなく色っぽい。
―――こんなことをして、私の心臓を鷲掴みにしてしまうあなたを忘れられるわけがない。

「渚生は私の心の支えです」

「そっか」

「そうです」

言葉よりも私はただ渚生がそばにいればいい。
私がそんな激しい感情を持っているなんて、あなたはきっと知らない。
渚生の手に同じようにキスをした。
この感情の一部でも伝わればいい。
大切なあなたに。

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