優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
明日、みんなのお弁当のデザートはイチゴにしよう。
これでデザートは決まった。

「仕事頑張ってね」

「はい」

渚生君は爽やかな笑顔で言うとお隣に帰って行った。
玄関のドアが閉まる前に渚生君はいつも私に手を振るのでそれを待って、ぺこりと頭を下げた。

「イチゴって春って感じだよね」

春らしいお弁当にしよう。
アスパラは豚肉に巻いて甘辛く照り焼き風にして、後は人参のグラッセを添えて佃煮があったはずだからそれを添えれば、隙間を埋められるはず!
お弁当の構成は完璧。
さっそくキッチンのホワイトボードに書いておこう。
じゃないと、朝起きた時にもたもたしちゃうからね……。
明日の段取りを考えながら、イチゴを冷蔵庫に入れた。
キッチンに置かれたお弁当箱を見て、私はなぜか嬉しくて微笑んだ。
家族に作るお弁当とはなんだか違うと気づいて、そんな自分の気持ちは春の浮かれた空気に似ていた。
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