優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
第2話 入社日初日
「わっ!!」
目覚まし時計を止めようとして、ベッドから落ちた。
い、痛い。
空振りした手を伸ばして目覚まし時計を止めた。
「ううっ、朝からこんな失敗を」
痛みに耐え、ふらふらと床から立ち上がった。
い、急がないと!
髪をまとめ、エプロンをつけてキッチンに入った。
家族全員、仕事で忙しいため、一番ひまな私が家事全般をやるように両親やお姉ちゃん達に言われ、最初はお手伝い程度の家事が気付いたら、私がやることになっていた。
朝食作りの前に家族全員分のお弁当を作って詰めた。
気がつくと春の明るい日差しがキッチンの窓から入ってきていた。
「今日から私も社会人かあ」
ぼんやりと窓の外を眺めると、冬に植えたチューリップが咲いていた。
「春だねえ」
ゆらゆらと春風に揺れるチューリップを眺めながら、お弁当に蓋をする。
寒かったけど、球根を植えておいてよかったなあ。
キッチンの窓から見えるところにいつも花を植える。
家族は誰も庭に興味がないみたいで、私が庭に小さな家庭菜園と花壇を作っている。
今日のお弁当は卵焼きとウィンナー、ブロッコリーとプチトマト。
忙しい両親にはすぐに食べれるようにご飯はおにぎりにしてある。
朝ごはんのパンとコーヒー、それからサラダとヨーグルトを人数分。
これが呑海家定番の朝食だった。