優秀な姉よりどんくさい私の方が好きだなんてありえません!
第18話 婚約の話【水和子 視点】

泣きはらした目で会社になんか行けるわけがない。
結局、会社を三日も休んでしまった。

呑海(どんみ)の気持ちには応えられない』

壱哉(いちや)はっきり言われた。
私がフラれることをわかっていたのか、渚生(しょう)は知らん顔して慰めもしなかった。
家までは渚生が送ってくれたけど、あの嫌味な渚生は

「気持ちに踏ん切りがついてむしろ、よかったんじゃないかな。じゃー、おやすみ」

なんて、軽いかんじで帰って行った。
そんな扱いを受けるような気持じゃないわ!
私の壱哉への想いは!
幼い時から努力を重ねて、私はその隣に立ってきたの。
壱哉はすごくモテた。
けれど、私が隣にいることで誰も近寄れなかった。

「…それなのに」

いったい誰なの?
壱哉が好きな相手って。
聞いても教えてはくれなかった。
『まだ本人に俺の気持ちを言ってないから言えない』
あの壱哉が簡単に好きだと言えない相手って誰?
そんな人間がいる?
全員が仕事に行っていなくなった家の中は静かで、スマホには仕事のメールが入っていた。
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