The previous night of the world revolution~T.D.~
ルレイア・ティシェリー。

今更言わずもがな、ルティス帝国最大のマフィア、『青薔薇連合会』の幹部の一人であり。

恐ろしいほどのカリスマと、恐ろしいほどの戦闘能力、恐ろしいほどの…えぇと…エロスを蓄えている人物である。

また、彼は全身真っ黒な衣装(ゴスロリ?とかいうらしい…)を身に着け、更に真っ黒な特注の鎌を武器にしていることから、死神の異名を持っている。

彼の死神っぷりと来たら、本物の死神が迎えに来ても、あまりの恐ろしさに死神の方が逃げ出したとも噂されている。

あながち誇張ではないと思う。

そして、このルレイア・ティシェリーの、思わず惹き込まれるような魅力。

容姿が端麗なだけでなく、彼は、脅威的なまでのフェロモン…人呼んでルレイア・フェロモンを発している。

前世はハチだったのではないだろうか。

このフェロモンに惹かれ、また彼の言葉巧みな話術によって籠絡され、彼の虜になり。

彼を信奉するルレイア・ハーレムの会員は、最早人様には言えない数字を叩き出しているとか。

それも、女性だけでなく男性も。

俺でさえ、しばらく彼の顔を見つめていたら、そのあまりの強烈なルレイア・フェロモンに、惹き込まれてしまいそうになる。

迂闊に顔も見られないって、それどんな人だよ。

って言われるかもしれないが、こんな人なんだ。

…聞いたところによると、昔彼は帝国騎士官学校を卒業しており、帝国騎士団四番隊隊長を務めていた…つまり俺のOB…に当たるらしい。

悲しい事件があって、今の彼が出来上がったとか。

その辺りは、あまり詳しく話したくはないのだが…。

ともかく。

何が嬉しくて、こんな恐ろしさしか感じない人とルームシェアしなければならないのか。

当然この話が持ち上がったとき、俺は控えめながら、必死に抗議した。

「あの」ルレイア・ティシェリーと同居なんて、恐ろしくて出来ない、と。

しかし、俺の上司達は。

オルタンス殿は、「ルレイアと一つ屋根の下か…。羨ましいな」と逆に羨望の眼差しで見られ。

ルシェ殿は、「ルレイアのことを、くれぐれも宜しく頼む」と、何故か俺じゃなくてルレイア・ティシェリーのことを気にかけられ。

リーヴァ殿は、「…健闘を祈る」とだけ言って、申し訳無さそうにそそくさと逃げ去り。

アドルファス殿だけは、「あのルレイアと一緒だと大変だろうが、くれぐれも奴を怒らせないよう、気をつけろよ」と励ましの言葉をくれた。

アドルファス殿は良い人である。

そして。

そんなルレイア殿には、もっと恐ろしいところがある。

それが。

「おい、ルレイア。来たぞ」

「あっ、ルルシー!」

そう。

死神たるルレイア・ティシェリーの相棒。

ルルシー・エンタルーシアという存在である。
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