The previous night of the world revolution~T.D.~
で、その適性試験があった、翌日。

俺はまたしても、呼び出しを受けた。

そして、この間までとは一変して、険しい顔をした受付のお姉さんに。

「見せたいものがある」と言われ。

連れてこられたのが、現在俺がいる、この地下室。

と言うより、拷問部屋であった。

阿鼻叫喚の拷問を見せられ、俺はどう反応したら良いのか、考えあぐねていた。

「なんて酷いことを!」とか言えば良いのか?

そんな月並みなことしか言えないなら、見せられた意味がない。

とりあえず、向こうから何か言ってくるまで。

俺は、黙って拷問の様子を眺めていた。

非情に思えるかもしれないが、俺も裏社会の人間だ。

この程度の拷問を見せられたくらいで、動じたりはしない。

すると。

「ごめんごめん、待たせたな」

「?」

地下室に、新たな人物がやって来た。

若い青年男性だ。

彼は、拷問を受けている二人をちらりとも見ようとせず。

真っ直ぐに、俺と、案内役の受付お姉さんのもとにやって来た。

これは誰…。

と、思ったら。

「総統!お疲れ様です!」

受付お姉さんが、青年に向かって敬礼した。

本当に敬礼した。

軍隊か?ここは。

それに、総統って…。

「うんうん、ありがとう。じゃ、あとは俺が引き継ぐから、上に戻って良いよ。用事が出来たら、また呼ぶから宜しくな」

「は、畏まりました」

お姉さんは再度敬礼し、更に一礼して、その場を辞した。

…成程。

俺は、大体事態を把握した。

そして。

「やぁ、初めまして。俺はヒイラ・ディートハット。『帝国の光』の党首だ」

自己紹介ありがとう。

予想していたから、さして驚きもしなかった。
< 162 / 820 >

この作品をシェア

pagetop