The previous night of the world revolution~T.D.~
「共に協力して欲しい」

ヒイラ総統は、こちらに向かって手を伸ばした。

「君と、俺達の力を合わせれば、きっと出来る。きっと…この国を解放することが出来る。君には、その志がある」

「…」

…この、差し出された手を取れば。

俺は、きっともう戻れないところまで、足を踏み入れてしまうことになるのだろう。

猛獣の餌箱に、自ら入るも同然。

だが。

「…あぁ。俺も党の為に、力を尽くそう」

そうでなければ、スパイである意味がない。

俺は、しっかりとヒイラの手を握り締めた。

猛獣が、何だと言うのだ。

こちとら、死神と毎日過ごしているのだ。

今更恐ろしいものなど、何もありはしない。
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