The previous night of the world revolution~T.D.~
「高校までは、地元でエスカレーター式だったけど。俺は無駄に成績だけは良かったから、大学行きを勧められたんだ。学校の先生に」
「そりゃ、学年1の秀才なら、大学行きも当たり前だろうけど…。…でも、君の学歴って…」
そう。思い出してくれてありがとう。
俺が『帝国の光』に提出した履歴書には、俺の最終学歴は高卒になっている。
「家は貧乏だったし、両親も、俺の大学行きまでは、面倒見るつもりなかったみたいだったから…」
「でも…奨学金とかあるんじゃないのか?」
良い質問だ。
「そうだな。だから俺は必死に勉強して、帝都の大学の学費免除枠に合格したんだ」
「えっ。合格してたのか?」
「あぁ。嬉しかったよ。これまでの人生、貧乏で家族仲も悪くて、本だけが友達みたいなもので、成績だけが俺の取り柄だったからな。それが報われたみたいで、俺は喜んで荷物をまとめて、帝都にやって来た。あのときは本当に…希望に満ちてたよ」
「でも…じゃあ、何で学歴が…」
俺は、先程のヒイラ総統の、乾いた笑いを真似て言った。
我ながら、結構良い演技だと思っている。
さすが俺の仮面。
「…奪われたんだよ、寸前のところで。貴族のお坊ちゃんに」
「…!」
「突然だった。借りたばかりの帝都のアパートに、いきなり、入学取り消しの通知が届いて。大学に説明を求めたけど、『こちらの手違いだった。申し訳ない』の一点張り」
勿論作り話だが。
もしそんなことがあったら、申し訳ないじゃ済まないよな。
まぁ本当の俺も、入学直前で蹴落とされるという経験をしているのだが。
あれは、結果的には、蹴落とされて正解だったのかもしれない。
「後で知ったことだ。どうも、その大学のスポンサーに、とある貴族の家がついていて。そこのお坊ちゃんが、身の丈に合わない大学ばかりを受けて、結局全滅したらしくて」
「…」
「焦ったお坊ちゃんの両親…貴族の当主だよな。その人が、金に物を言わせて、半ば大学を脅す形で、自分の家の息がかかった大学に、無理矢理息子を捩じ込んできたんだ。…学費免除枠の俺を蹴って」
「そんな…」
俺は、相変わらず乾いた笑みを浮かべて言った。
「そりゃ、学年1の秀才なら、大学行きも当たり前だろうけど…。…でも、君の学歴って…」
そう。思い出してくれてありがとう。
俺が『帝国の光』に提出した履歴書には、俺の最終学歴は高卒になっている。
「家は貧乏だったし、両親も、俺の大学行きまでは、面倒見るつもりなかったみたいだったから…」
「でも…奨学金とかあるんじゃないのか?」
良い質問だ。
「そうだな。だから俺は必死に勉強して、帝都の大学の学費免除枠に合格したんだ」
「えっ。合格してたのか?」
「あぁ。嬉しかったよ。これまでの人生、貧乏で家族仲も悪くて、本だけが友達みたいなもので、成績だけが俺の取り柄だったからな。それが報われたみたいで、俺は喜んで荷物をまとめて、帝都にやって来た。あのときは本当に…希望に満ちてたよ」
「でも…じゃあ、何で学歴が…」
俺は、先程のヒイラ総統の、乾いた笑いを真似て言った。
我ながら、結構良い演技だと思っている。
さすが俺の仮面。
「…奪われたんだよ、寸前のところで。貴族のお坊ちゃんに」
「…!」
「突然だった。借りたばかりの帝都のアパートに、いきなり、入学取り消しの通知が届いて。大学に説明を求めたけど、『こちらの手違いだった。申し訳ない』の一点張り」
勿論作り話だが。
もしそんなことがあったら、申し訳ないじゃ済まないよな。
まぁ本当の俺も、入学直前で蹴落とされるという経験をしているのだが。
あれは、結果的には、蹴落とされて正解だったのかもしれない。
「後で知ったことだ。どうも、その大学のスポンサーに、とある貴族の家がついていて。そこのお坊ちゃんが、身の丈に合わない大学ばかりを受けて、結局全滅したらしくて」
「…」
「焦ったお坊ちゃんの両親…貴族の当主だよな。その人が、金に物を言わせて、半ば大学を脅す形で、自分の家の息がかかった大学に、無理矢理息子を捩じ込んできたんだ。…学費免除枠の俺を蹴って」
「そんな…」
俺は、相変わらず乾いた笑みを浮かべて言った。