The previous night of the world revolution~T.D.~
ヒイラ総統の反応を、こっそりと探りながら。

「…何だか湿っぽくなったな。ごめん」

俺は、作り笑いを貼り付けて、顔を上げた。

「こんな話、大したことは…」

「…同志ルニキス」

「…何だ?」

ヒイラ・ディートハットの目は、真剣そのものだった。

あぁ、良かった。

アイズ先輩、どうやら、あなたのシナリオは完璧だったようだぞ。

さすがだな。

「一緒にルティス帝国を変えよう。俺や君のような人を、これ以上作らない為に。一部の権力者だけが得をして、努力した貧民が虐げられることがない、平等な国を作る為に。一緒に変えるんだ」

「…ヒイラ総統…」

「俺達なら出来る。『帝国の光』は皆で同志だ。志を同じくする同志。君もその一人なんだ」

「…あぁ」

俺は再度、ヒイラ総統の誘いに頷いた。

また一歩、禁足地に足を踏み入れたような気がした。

気にするな。

どうせ俺はもう、猛獣舎の餌箱の中だ。

「…それと、同志ルニキス」

「うん?」

「総統、って呼ぶのは勘弁してくれよ。俺は、そんな器じゃないよ」

と、苦笑して言うヒイラ総統…改め。

「…じゃあ、同志ヒイラ」

「そう呼んでくれ、同志ルニキス」

また一歩、禁足地に足を踏み入れたような気がするが。

気にするな。

どうせ俺はもう、猛獣舎のry(。
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