The previous night of the world revolution～T.D.～

俺の名前は、ルアリス・ドール・エーレンフェルト。

ルティス帝国の隣国、箱庭帝国からやって来た。

これでも一応、箱庭帝国の代表を名乗らせてもらっている立場だ。

今ではその立場で、箱庭帝国の代理として数々の国を巡る機会が増えたものだが。

俺にとって、このルティス帝国を訪れるというのは、他の国を訪ねるときとは違う、深い感慨がある。

隣の国なのに、何を大袈裟な、と言われるかもしれないが。

隣の国だからこそ、だ。

国家に真の友人はいないと言うが、俺にとってルティス帝国は、友人以上の存在。

かけがえのない、恩人だ。

何せルティス帝国は、閉鎖され、独裁されていた我が祖国を救ってくれたのだから。

正しく言えば、ルティス帝国の帝国騎士団と…そして。

『青薔薇連合会』と呼ばれる、このルティス帝国裏社会を牛耳るマフィア。

そして、もっと正しく言えば。

そのマフィアに所属する、死神の異名を持つあの人…。

「…」

姿を思い出したら、ちょっと寒気がしたので、考えるのやめよう。

…それに。

今回の訪問は、残念ながら。

彼らに、会いに来た訳ではないからだ。