The previous night of the world revolution~T.D.~
「は?俺が教育学部にいたらおかしいんですか」

はい、おかしいです。

と正直に言ったら、死神の鎌が箱庭帝国に襲い掛かりそうなので。

「え、えぇと、何と言うか…あまりその、ルレイア殿が教師をやっているイメージが…」

言葉を濁して言ってみた。

すると。

「心外ですね。何故か皆そう言うんですよ。ルルシーなんて、『お前が本当に教師になったら、ルティス帝国の未来は終わりだ』とか言うんですよ。失礼じゃありませんか?」

ルルシー殿、あなたは正しい。

俺もそう思います。

「俺ほど、教師に優れた人間もいないと思ってるんですけどね。さっきの実習も見たでしょう?俺、完璧にクソガキあやせてたじゃないですか」

「…そうですね…」

棒読み。

もうね、赤ん坊をクソガキと呼んでいる時点で。

「…そんなことより」

ルレイア殿は足を組んで、高慢にこちらを見下ろしながら言った。

「何でこんなところにいるんですか。元童貞のあなたが」

…元童貞、関係あります?

それより俺は、あなたが何故こんなところに潜入しているのか、それを先に聞きたいですよ。

しかし、死神様が先に俺に尋ねているのだから。

俺が、先に答えなければ。

「箱庭帝国を代表して、ルティス帝国最高峰の教育機関を視察に…。このルティス帝国総合大学を参考に、箱庭帝国でも新たに、国営の大学を創立しようという話が持ち上がって…」

「…ふーん…」

自分で聞いておきながら、物凄く興味なさそうな反応。

「そりゃご苦労様なことですね。ちょっと前までご執心になってた、観光業の方はどうなったんです?もうやめたんですか?」

なんか…妙に刺々しい言い方なのだが。

俺、何かルレイア殿の気に障るようなことでも?

「は、はい…。観光業の方は、ある程度安定したので…。今度は、国内の後進育成に着手しようかと…」

「へーぇ。それそれは、国家元首殿はお忙しいことで」

「…」

…物凄く攻撃されてる気がする。

どうしてだろう。俺としては、ルレイア殿を敵に回したくはないのだが…。

「…あの、ルレイア殿」

「何です」

「俺、何かしました…?」

後で確執になったら、それはそれで嫌なので。

今のうちに聞いておくことにする。
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