The previous night of the world revolution~T.D.~
「…俺に出来ることがあれば、何でも言ってください」

もう何度も、飽きるほど繰り返してきたが。

今の箱庭帝国の繁栄は、ルティス帝国と、そしてルレイア殿達、『青薔薇連合会』のお陰だ。

俺個人の恩人でもあり、祖国の恩人でもある。

だから、ルティス帝国と『青薔薇連合会』の為に、俺に出来ることがあるなら。

俺は、どんなことでもする。

ルレイア殿が、命を懸けて箱庭帝国の革命に協力してくれたように。

しかし。

「ほう?あなたに何が出来るんですか?童貞だった癖に、一国の代表と一児のパパになったことで、ちょっと調子に乗ってる元童貞のあなたが、俺の為に何が出来ると?」

童貞だけ二回言われたのが、地味に傷ついたが。

「…確かに、俺はルレイア殿に比べたら、非常に頼りない元童貞ですが」

「はい」

はいって言われた。

容赦のなさが相変わらずで、むしろ安心する。

「それでも…あなたから受けた恩を、少しでも返せるのなら…どんなことでもします。例え腹を切れと言われても」

「…!ルアリス坊っちゃん…」

俺の覚悟に、ユーレイリーは驚いていたが。

ルレイア殿は、眉一つ動かさなかった。

さすがの貫禄。おみそれしました。

「良い覚悟ですね」

「…何があったのか、話してもらうことは出来ますか」

『青薔薇連合会』が…それも、幹部であるルレイア殿が、直々に動いているということは。

それなりのことがあったのだ。このルティス帝国で。

いくら旧知の仲と言えど、他国の人間に、教えてくれるだろうか?

もし話してくれたとしても、ルティス帝国のような大国と。

発展してきたとはいえ、まだまだ小国である箱庭帝国では、持っている国力が違う。

彼らの為に、出来ることは少ないかもしれない。

けれど…。

「ルレイア殿…」

「…うーん…。どうしたもんですかね」

…。

「教える訳ないでしょ馬鹿ですか」と、一刀両断されなかったということは。

俺に話しても良い内容…だと判断して良いのだろうか。

でも、何だか渋っている様子。

「安心してください。秘密は決して漏らしません。箱庭帝国の代表として…」

「あぁ、それは別に心配してませんよ。他言するななんて言わなくても、あなたに他言する度胸があるとは、これっぽっちも思っちゃいませんから」

「…」

信頼されてる、と喜んで良いのか。

小心者だと蔑まれている、と落ち込めば良いのか。

…まぁ、あれだ。

ルレイア殿の口が…その…あまり宜しくないということは、ハナから分かってるから。大丈夫。
< 204 / 820 >

この作品をシェア

pagetop