The previous night of the world revolution~T.D.~
「別に、あなたが信用ならないとか、そういう意味じゃないんですけど」

「は、はい」

「ただ、あなたにこのことを話すかどうかなんて、帝国騎士団と取り決めしてる訳じゃないし…」

え?帝国騎士団?

『青薔薇連合会』だけじゃなくて、帝国騎士団まで絡んでいるのか?

一体どうなってるんだ、このルティス帝国は?

「でも、奴らはあなたがここに来ることを、知ってるはずですしね。まさかお忍びで来た訳じゃないんでしょう?」

「それは、勿論です」

事前にルティス帝国政府にお伺いを立て、公式に訪問している。

でなければ、わざわざ案内人がつくはずがない。

あっ、そういえば案内人の女性、俺がなかなか戻らないからって、心配してないかな?

「ふーむ。じゃあ、俺が…ってか俺達が、ここであなたと偶然遭遇する可能性は、帝国騎士団も承知の上なのか…。はたまた、何も考えていないのか…」

「…」

「…ともあれ、俺が独断で決めて良いことじゃないんですよね。箱庭帝国の人間であるあなたに話すか、話さないか」

「…そうですか」

もし、『青薔薇連合会』と帝国騎士団が組んで、何かしらの計画を実行中ということなら。

確かに、ルレイア殿の一存で、仮にも一国の代表に、計画の内容を話す訳にはいかないのだろう。

でも、それなら。

「…なら、友人として話してもらうことは出来ませんか」

「…はい?」

「箱庭帝国の…『青薔薇委員会』の委員長としてではなく、ただのルアリスとして…あなたの友人として、相談してもらうことは出来ませんか」

それなら、そこでどんな言葉が交わされようと。

箱庭帝国はルティス帝国に干渉しない。俺の心の内だけに留めておく。

「そういうことなら…駄目、ですかね」

「…首突っ込みたがり屋ですね」

グサッ。

「それだけ…ルレイア殿を心配していると思ってください…」

「あなたごときに心配される俺じゃないですよ。でも、まぁ…その提案は悪くない」

え。

「あなた今夜、時間あります?」

「時間…」

ある…訳ではないが。

ないなら、無理矢理にでも作れば良い。

「作る。作ります」

口実は…後で考える。

一晩、数時間くらいなら、どうにでも出来る。

「じゃ、今夜九時に、後でメールする住所に来てください。それまでに、ルーシッドとも話しておきます」

「は、はい…」

ルーシッド殿?

彼も、この計画…に、関わっているのだろうか?

何が何だか、俺にはさっぱり分からないが。

でも、話してくれるみたいで、それは安心した。
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