The previous night of the world revolution~T.D.~
「住所は…ここですね」

「あぁ」

ルティス帝国総合大学の近くにある、マンションの一室だ。

ここも、『青薔薇連合会』の息がかかっているのだろうか?

とにかく、呼び鈴を鳴らしてみよう。

インターホンを鳴らし、しばらく待っていると。

マンションの扉が、ガチャ、と開いた。

出てきたのは、ルレイア殿ではなく。

「ルーシッド殿…!」

「…お久し振りです」

帝国騎士団、四番隊隊長。

『青薔薇十字軍』の革命のとき、積極的に助力してくれた、俺の恩人の一人。

ルーシッド・デルマ・スヴェトラーナ殿だった。

あれ?でも。

俺、ルレイア殿から住所を送られてきたのに。

何故、そこにルーシッド殿が?

あ、

「ルーシッド殿も呼ばれたのですか?ルレイア殿に…」

確かルレイア殿、ルーシッド殿とも話をする、って言ってたもんな。

それで、彼もここに呼ばれたのだろうか。

しかし。

「あ、いえ、そういうことではなく…」

「…?」

「と、とにかく、立ち話も何だし、中にどうぞ」

「は、はい…。お邪魔します」

俺とユーレイリーは、疑問を抱きながら、部屋に上げてもらった。

そしてその部屋は、凄かった。

思わず、後ずさってしまいそうなほどに。

何が凄いって、辺り一面真っ黒。

本当に真っ黒なのだ。

墨汁ぶちまけた?ってくらい。

カーペットも壁紙も真っ黒で、黒い薔薇の刺繍が施されている。

カーテンも黒くて、裾のレースも黒。

テーブルもテーブルクロスも真っ黒だし、あちこちにひらひらとフリルがついている豪奢なソファも、これまた真っ黒。

真っ赤よりは良いじゃないか、と言われたら確かにそうなんだけど。

真っ黒なのもどうかと思う。

そして、部屋中に漂う、オリエンタルな香水の香り。

この匂いは、間違いなく…。

「あぁ、来ましたねルシード」

真っ黒の衣装を身に着け、真っ黒のティーカップで優雅に紅茶を飲む、『青薔薇連合会』の幹部。

ルレイア・ティシェリーが、そこに座っていた。

さすがの貫禄。あっぱれとしか言いようがない。
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