The previous night of the world revolution~T.D.~
ルーシッド殿も含め、人数分のお茶が揃ったところで。

「…さて、じゃあ話しましょうか」

…はい。

…えぇと、聞いても良いだろうか。

「…あの、一つ聞いても良いでしょうか」

「あ?」

「ルーシッド殿も、ここに呼ばれたのですか?一緒に…」

「ん?いや、ルーシッドは元々ここに住んでるんですよ」

え?

「俺達、今同居してるんです。ねぇルーシッド」

「そ…そうですね」

「ええっ!?」

思わず、そう言ってしまった。

すかさず、ルレイア殿がギロリと睨んだ。

「…何ですか、その驚きようは。何か悪いんですか?」

「え?あ?いえ…。あの…」

どうして、帝国騎士団の隊長であるルーシッド殿と、『青薔薇連合会』の幹部であるルレイア殿が同居をしてるんですか、という。

至極当然な質問の前に。

ルーシッド殿、ルレイア殿と同居して大変じゃないのか、という心配の方が先に出てきた。

「…ルーシッド殿…だ、大丈夫なんですか?」

こっそりと、ルーシッド殿に尋ねる。

すると、ルーシッド殿は、何処か遠い目をして。

「…大丈夫。もう慣れました」

「そ…そうですか」

その悟りの境地を見たような目に、俺はそれ以上触れてはいけないと察した。

この部屋の有り様を見れば、最早悟りを開くしか道がないのも頷ける。

俺でも、多分そうなる。

ルーシッド殿…あなたはとても立派な人だ。

昔も、今も。

そして。

「『青薔薇連合会』とも帝国騎士団とも確認を取って、あなたに話して良いと結論付けた訳ですが」

「はい」

「このことは一切他言無用、っていうのはまず大前提として…」

「分かりました」

他言無用。なら、ここだけの話だ。

俺の胸の中にだけ、留めておこう。

「今の状況について説明するには…まず、『天の光教』のところから始めなきゃならないんですよね」

…『天の光教』?

というのは、一体…。

「…話長くなりそうだなぁ…。またあの年齢サバ読みおばさんのこと思い出すのも、面倒だし…」

…年齢サバ読みおばさん…?

ますます話がよく分からなくなってきた。

しかも、ルレイア殿、心底面倒臭そう。

本当に話してもらえるのだろうか、と思ったら。

「…よし、ルーシッド。パス」

「はい?」

え?

「経緯。全部ルアリスに話してください。あなたも知ってるんだから」

「…」

「俺はその間に…。おい下僕。肩揉んで下さい」

「畏まりました」

すかさず、サッと立ち上がるルレイア殿のげぼ、いや…召使いの女性。

ルレイア殿は、その召使いさんにマッサージをされ、優雅に紅茶を飲んでいらっしゃった。

…えーっと。

「…じゃあ、ルレイア殿に代わりまして…俺が経緯を話しますね」

と、ルーシッド殿。

「あ、ありがとうございます…」

…つくづく。

こんな、自由奔放を絵に描いたような人と同居なんて。

本当にあなたは、よくやってますよ。

心から尊敬します。ルーシッド殿。
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