The previous night of the world revolution~T.D.~
…およそ一時間後。

俺は、ルーシッド殿の説明で、事の経緯を理解した。

まさかと思うようなことの連続だった。

俺が、国内の事業に夢中になってる間に。

ルティス帝国では、そんなことが…。

今更ながら、呑気な自分が愚かしく思えてくる。

「そうだったんですね…。それで、今ルティス帝国総合大学に…」

「はい…」

成程、そういうことだったか。

一体どんな因果で、ルレイア殿が大学にいるのかと思ったら。

何なら、ルーシッド殿もあのとき、大学内にいたんだな。

姿を見なかったというだけで。

すると、そのとき。

「…ん?」

気持ち良くマッサージされ、目を閉じて居眠りをしていたルレイア殿が、目を覚ました。

…おはようございます。

「話、終わりました?」

本当に聞いてなかったんですか。

「はい…。丁度今…」

「成程。じゃあ、先程『俺が』説明した通りです、ルアリス。そんな訳で、『青薔薇連合会』は帝国騎士団と共同で、国内の共産主義組織を調査してるんですね」

え、いや。

説明してくれたのは、ルーシッド殿なんですが?

まさかルレイア殿、あなた、説明の手間を、ナチュラルに自分の手柄にするおつもりで?

「…」

「…」

俺もルーシッド殿も絶句。

が、ルレイア殿だけは。

「…どうかしました?」

何もなかったかのような顔。

自分はちゃんと起きて、しっかり事の次第を説明しましたよ、みたいな。

「…」

ルーシッド殿は、もう何も言わず。

「…」

俺もまた、何も言わなかった。

…うん。

本当に頑張ってると思いますよ、ルーシッド殿。

今、あなたが考えてることが分かります。

ここにルルシー殿がいてくれたらなぁと、思ってるんですよね。分かりますよ。

俺も同じ気持ちなので。

ルルシー殿が手綱を握っていなかったら、つくづくルレイア殿は大変なことになるんだなぁと、またしても痛感した。
< 210 / 820 >

この作品をシェア

pagetop