The previous night of the world revolution~T.D.~
とにかく。
事情は、分かった。
ルーシッド殿のお陰でな。
まず、感想として言いたいのは。
「宗教…ですか。箱庭帝国では…あまり、重要視されていませんね…」
一応、フューシャがいた秘境の里のように、その地方地方で信仰されてきた、民族宗教のようなものが、あるにはあるが。
それが原因で、国内で大きく対立するといった事態は、今のところ無縁だ。
「まぁ、お宅らはついこの間まで、憲兵局による一党独裁でしたからね。何なら憲兵局がある種の一神教で、別の宗教の介入する余地がなかったんでしょう」
と、ルレイア殿。
そうだろうな。
何せ旧体制の憲兵局は、自分達こそが絶対だと国民に信じ込ませていた。
秘境の里のような、小さな民族宗教でさえ、厳しく弾圧していたくらいだ。
今でこそ、箱庭帝国も、宗教の自由を認めているが…。
「これから宗教の自由化が進めば…。箱庭帝国も、他人事ではいられなくなるかもしれませんね」
やはり、ルレイア殿と話すと、視野が広まる。
箱庭帝国にも、『天の光教』のような新興宗教が出てきたら…。
「そう思ってた方が良いですよ。あれは厄介ですからねー。世界中の皆、ルルシー教に改宗してしまえば話は簡単なのに」
「…」
…その宗教は、あなた以外の信者はいるんですか?
と、聞きたかったが、聞いたら縊り殺されかねないのでやめておく。
「とはいえ、今回俺達を煩わせているのは、宗教団体ではなく、政治組織です」
「…はい」
若者達の間に広まりつつあるという、共産主義組織…。
その中心にいるのは、ルリシヤ殿が潜入しているという『帝国の光』…。
他にも、ルレイア殿とルーシッド殿が潜入している、大学の同好会。
それに、まだ会ったことはないが、ルレイア殿のお弟子さんが潜入している、『赤き星』というサークル…。
ルティス帝国でも指折りの大学で、そのようなサークルが出来ているということは。
言うまでもなく、他の大学や、大学に限らず様々な地方で、共産主義的な思想を掲げる組織が出来てきているのだろう。
だが、現体制を維持したいルレイア殿達『青薔薇連合会』と。
現体制を守っている当事者である、ルーシッド殿は、この事態を看過出来ない。
故に、互いに契約を交わし、共産主義組織を見張る役目を担っている、と…。
…成程。
…。
…どうしよう。
危険を犯して潜入調査をしている彼らに、こんなことを聞くのは失礼だと思うが。
やっぱり、やめておこ、
「何か言いたそうですね、ルアリス」
「うっ…」
ルレイア殿の目は、誤魔化せなかった。
と言うか、この人の目を誤魔化せる人がいるのか?
「言いたいことがあるなら、言えば良いじゃないですか。『ルティス帝国泥舟じゃんワロスw』とか言いたいなら、是非どうぞ」
本当にそんなことを言ったら、あなたに殺されるのでは?
あと、そんなことは思ってません。
「あなただって一国の長を名乗るなら、自分の意見くらい、堂々と言えば良いでしょう」
「…では、失礼を承知で、一つお聞きしても良いですか」
「どうぞ」
「…国民達が、真にルティス帝国の共産主義化を望むなら、その思いに応えるのが、為政者の務めなのではないですか?」
こんなことで、ルレイア殿とルーシッド殿と仲違いはしたくない。
それでも意見を求められるなら、言わない訳にはいかなかった。
事情は、分かった。
ルーシッド殿のお陰でな。
まず、感想として言いたいのは。
「宗教…ですか。箱庭帝国では…あまり、重要視されていませんね…」
一応、フューシャがいた秘境の里のように、その地方地方で信仰されてきた、民族宗教のようなものが、あるにはあるが。
それが原因で、国内で大きく対立するといった事態は、今のところ無縁だ。
「まぁ、お宅らはついこの間まで、憲兵局による一党独裁でしたからね。何なら憲兵局がある種の一神教で、別の宗教の介入する余地がなかったんでしょう」
と、ルレイア殿。
そうだろうな。
何せ旧体制の憲兵局は、自分達こそが絶対だと国民に信じ込ませていた。
秘境の里のような、小さな民族宗教でさえ、厳しく弾圧していたくらいだ。
今でこそ、箱庭帝国も、宗教の自由を認めているが…。
「これから宗教の自由化が進めば…。箱庭帝国も、他人事ではいられなくなるかもしれませんね」
やはり、ルレイア殿と話すと、視野が広まる。
箱庭帝国にも、『天の光教』のような新興宗教が出てきたら…。
「そう思ってた方が良いですよ。あれは厄介ですからねー。世界中の皆、ルルシー教に改宗してしまえば話は簡単なのに」
「…」
…その宗教は、あなた以外の信者はいるんですか?
と、聞きたかったが、聞いたら縊り殺されかねないのでやめておく。
「とはいえ、今回俺達を煩わせているのは、宗教団体ではなく、政治組織です」
「…はい」
若者達の間に広まりつつあるという、共産主義組織…。
その中心にいるのは、ルリシヤ殿が潜入しているという『帝国の光』…。
他にも、ルレイア殿とルーシッド殿が潜入している、大学の同好会。
それに、まだ会ったことはないが、ルレイア殿のお弟子さんが潜入している、『赤き星』というサークル…。
ルティス帝国でも指折りの大学で、そのようなサークルが出来ているということは。
言うまでもなく、他の大学や、大学に限らず様々な地方で、共産主義的な思想を掲げる組織が出来てきているのだろう。
だが、現体制を維持したいルレイア殿達『青薔薇連合会』と。
現体制を守っている当事者である、ルーシッド殿は、この事態を看過出来ない。
故に、互いに契約を交わし、共産主義組織を見張る役目を担っている、と…。
…成程。
…。
…どうしよう。
危険を犯して潜入調査をしている彼らに、こんなことを聞くのは失礼だと思うが。
やっぱり、やめておこ、
「何か言いたそうですね、ルアリス」
「うっ…」
ルレイア殿の目は、誤魔化せなかった。
と言うか、この人の目を誤魔化せる人がいるのか?
「言いたいことがあるなら、言えば良いじゃないですか。『ルティス帝国泥舟じゃんワロスw』とか言いたいなら、是非どうぞ」
本当にそんなことを言ったら、あなたに殺されるのでは?
あと、そんなことは思ってません。
「あなただって一国の長を名乗るなら、自分の意見くらい、堂々と言えば良いでしょう」
「…では、失礼を承知で、一つお聞きしても良いですか」
「どうぞ」
「…国民達が、真にルティス帝国の共産主義化を望むなら、その思いに応えるのが、為政者の務めなのではないですか?」
こんなことで、ルレイア殿とルーシッド殿と仲違いはしたくない。
それでも意見を求められるなら、言わない訳にはいかなかった。