The previous night of the world revolution~T.D.~
何だって、今更こんな気持ちになるのだろう。
構ってちゃんじゃないんだからさ。
「俺が無実の罪を着せられて、名前を奪われて、生きる意味を失ったこと…。あの事件は、確かにローゼリア元女王の失脚に繋がったけど、でもあの人が退位したのは、それだけが理由じゃなかった」
ローゼリア元女王の汚職事件の、一つでしかなかった。
「俺は事件の当事者ですから、自分の不幸に泣いたし、それに対して復讐を果たして満足しています。そのことに後悔はない。けれど…」
それでも。
今日、初めて国民の意見を聞いた。
あの事件とは全く関係のない、一般人の意見を。
そして分かった。
俺の身に起きた悲劇なんて。
「どうでも良いことなんですね。王家に忠誠を誓った騎士が一人、その王家に裏切られ、貴族から一般人に落とされることなんて…。そんなものを、その程度のことを、不幸だなんて嘆いていた俺は、どれだけ愚かだったか…」
『…愚かなんかじゃない。お前は愚かなんかじゃない。お前は…』
「良いんです。分かってますから」
考えてみれば、当たり前のことだ。
不幸な出来事なんて、この世にいくらでも溢れている。
前にも言っただろう、年齢サバ読みおばさんに。
この世の、幸福と不幸の天秤は、いつだって釣り合っている。
どちらかに傾くことはない。
俺が幸福を感じているとき、その瞬間、もう人生終わったと思うほどの、不幸を感じている人間がいる。
世の中そういうものだ。
だから俺の身に起きた不幸なんて、世界規模で考えたら、ちっぽけで些末な出来事でしかない。
世界規模どころか、国規模でもそうだろ。
何なら市内規模でも影響なし。
他人の不幸が俺にとって、糞どうでも良いことなのと同じ。
俺が味わった、この左手首の傷の痛みは。
他人にとって、どうでも良いことだったのだ。
俺は国を守る為、あの王家を守る為に、犠牲になったというのに。
俺が守った者は誰も、俺が犠牲になったことを知らないどころか。
知ったところで、「そんなことはどうでも良い」のだ。
そして、それは当たり前のことなのだ。
当たり前のことを突きつけられて、アホみたいに今更引き摺って。
あぁ、俺の犠牲って、その程度のものだったんだなぁって。
そう思うと、何だかやり切れなくなって。
それで無性に、ルルシーが恋しくなってしまったのだ。
構ってちゃんじゃないんだからさ。
「俺が無実の罪を着せられて、名前を奪われて、生きる意味を失ったこと…。あの事件は、確かにローゼリア元女王の失脚に繋がったけど、でもあの人が退位したのは、それだけが理由じゃなかった」
ローゼリア元女王の汚職事件の、一つでしかなかった。
「俺は事件の当事者ですから、自分の不幸に泣いたし、それに対して復讐を果たして満足しています。そのことに後悔はない。けれど…」
それでも。
今日、初めて国民の意見を聞いた。
あの事件とは全く関係のない、一般人の意見を。
そして分かった。
俺の身に起きた悲劇なんて。
「どうでも良いことなんですね。王家に忠誠を誓った騎士が一人、その王家に裏切られ、貴族から一般人に落とされることなんて…。そんなものを、その程度のことを、不幸だなんて嘆いていた俺は、どれだけ愚かだったか…」
『…愚かなんかじゃない。お前は愚かなんかじゃない。お前は…』
「良いんです。分かってますから」
考えてみれば、当たり前のことだ。
不幸な出来事なんて、この世にいくらでも溢れている。
前にも言っただろう、年齢サバ読みおばさんに。
この世の、幸福と不幸の天秤は、いつだって釣り合っている。
どちらかに傾くことはない。
俺が幸福を感じているとき、その瞬間、もう人生終わったと思うほどの、不幸を感じている人間がいる。
世の中そういうものだ。
だから俺の身に起きた不幸なんて、世界規模で考えたら、ちっぽけで些末な出来事でしかない。
世界規模どころか、国規模でもそうだろ。
何なら市内規模でも影響なし。
他人の不幸が俺にとって、糞どうでも良いことなのと同じ。
俺が味わった、この左手首の傷の痛みは。
他人にとって、どうでも良いことだったのだ。
俺は国を守る為、あの王家を守る為に、犠牲になったというのに。
俺が守った者は誰も、俺が犠牲になったことを知らないどころか。
知ったところで、「そんなことはどうでも良い」のだ。
そして、それは当たり前のことなのだ。
当たり前のことを突きつけられて、アホみたいに今更引き摺って。
あぁ、俺の犠牲って、その程度のものだったんだなぁって。
そう思うと、何だかやり切れなくなって。
それで無性に、ルルシーが恋しくなってしまったのだ。