The previous night of the world revolution~T.D.~
――――――…まるで、任務中のときのように、集中して机に向かっていたものだから。

部屋をノックされたことに、しばし気づかなかった。

「シュー公〜っ!いないのかー!」

「…え?」

私、今呼ばれた?

驚いて、ハッと顔を上げる。

気がついたら、もう二時間近くたっていた。

今、ドアの向こうから…声がしたよね?

誰か、来客…。

慌てて立ち上がりかけたところに、

「シュー公〜!…はっ!まさか、いつぞやみたいに、ねっちゅーしょーで倒れてるのでは!?」

「!?」

この声は…アリューシャ?

ね、熱中症?

「待ってろシュー公!アリューシャが助けてやるからな!ピーポーアリューシャ参上!助けに来たぞシュー公!」

バーン!と扉が開いて、アリューシャが飛び込んできた。

「え、あ…いらっしゃい…」

「…?」

…いや、そんな首を傾げられても。

私は無事だよ?

「…シュー公、ねっちゅーしょー?」

「ううん…。ちゃんと涼しいよ、部屋…」

いつぞやみたいに、エアコンが壊れてる訳じゃないよ。

「じゃあ何で閉じこもって…はっ!もしかして、今流行りの孤独死!?」

ずっこけそうになった。

物騒だから、そんなものは流行らせないで。

「生きてるよ…」

死んでないから、私。

成程、アイズがいつも、アリューシャが精神衛生上必要だと言っている理由が、ちょっと分かった。

思い詰めて必死になってる心に、ちょっと余裕が生まれた。



…しかし、それも長くは続かなかった。
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