The previous night of the world revolution~T.D.~
「つーかシュー公!部屋に閉じこもって何やってんだよ?」

「…それは…」

「いっつも閉じこもっちゃってるからさー、キノコでも育ててんのかと思った!」

…何でキノコ?

心配しなくても、キノコは育ててない。

「ルレ公いなくて寂しいのは分かるけどよー、『ごじゅう』のアリューシャ達がこんな、しんみりしてたんじゃ、ルレ公達も士気が下がるってもんよ」

「う、うん…。そうだね…?」

「ごじゅう」って何だろう…?五十…?

今は、アリューシャ専門通訳のアイズがいないので。

その言葉が、「銃後」の言い間違いであることを、私は知らなかった。

確かに私も、ルレイアが…ルレイア達がいなくなって、寂しいけれど。

ここ最近、ずっと部屋に閉じこもっているのは。

別に、寂しくて不貞腐れているからてはない。

「それで…どうしたの?何か用?」

私は、話題を変える為にそう言った。

「おー!そうだそうだ、アイ公にお使い頼まれてたんだったぜ」

お使い?

よく見ると、アリューシャは片手に書類を持っていた。

あぁ、あれを持ってきてくれたんだ。

「ほいっ、これ、シュー公にって」

「ありがとう。確かに受け取ったわ」

…ところで。

「アリューシャは、この書類読んだの?もうアイズから聞いた?」

「へ?知らん!」

知らないんだ。

「そ、そっか…」

「そんじゃ、アリューシャはキノコ作ったことねーけど…アリューシャの力が必要だったら、いつでも呼んでくれよな!」

そう言い残して、アリューシャは帰っていった。

「あ…ありがとう…」

気持ちは嬉しいのだけど、私、キノコなんて育ててない。

まぁ…良いか。

とにかく、アイズが託してくれた、この便りを読むのが先だ。

そして。

「…!」

私はその書類を読んで、どうしてアイズが、アリューシャにその内容を先に知らせなかったのか分かった。

もし、アリューシャがこれを知れば。

「そいつらヤバそうだから、もうアリューシャが全員狙撃してくる!」とか言って。

愛用のライフルを片手に、飛び出しかねなかっただろうから。

でも、その気持ちはよく分かった。

私だって、飛び出したくて堪らなかったから。

「ルレイア…」

私は、その危険の真っ只中にいる彼のことを思った。

…お願い、どうか無事でいて。


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