The previous night of the world revolution~T.D.~
…嫌だ、ってお前…。
何だ、その幼稚園児並みの語彙力は…。
お前、本当に帝国騎士官学校の卒業生か?
「俺はルレイアに会いたい」
理由がもう、完全に幼稚園児。
何と言って説き伏せたら良いのか、と思っていたら。
アストラエアが、俺の代わりに火を吹いた。
「下らん私情で物を言うな!私情で動いて良い立場だと思っているのか!」
そうだ、良いぞ。もっと言え。
「…」
怒号を飛ばされても、オルタンスは涼しい顔。
「これ以上『青薔薇連合会』の手を借りるなど、帝国騎士団の威厳に関わる!これ以上我々に恥を…」
と、アストラエアが叱責を続けようとしたが。
オルタンスは、相変わらずの涼しい顔で。
「今更そんなことを言ってるのか?」
「…何?」
オルタンスは、アストラエアを見ることなく。
自分の爪を眺めながら言った。
いや、人と話をするときは相手を見てやれよ。
「最初に『青薔薇連合会』の手を借りたのは、『シュレディンガーの猫』の件だったか…」
…そんなこともあったな。
あの頃はまだ、隣国箱庭帝国が、憲兵局に囚われていた。
「あの時点で、俺達はもう、一度『青薔薇連合会』に頼ってしまったんだ。マフィアという組織の本質を知らないのか?」
「…何だと?」
「帝国騎士団は、『青薔薇連合会』の手を借りてしまった。一度でもこの事実がある以上、俺達の…尊厳?なんてものは、彼らの手の中だ」
…!
「俺達がこれから、いくら誇り高く国を守ろうとも、『青薔薇連合会』の機嫌を常に窺っていなければならない事実は変えられない。一度でも『青薔薇連合会』の機嫌を損ねれば、彼らは俺達が非合法組織の力を借りたことを…帝国騎士団の恥とやらを、声高に公表するだろう」
爪を眺めながら。
何でもないことのように、オルタンスは言った。
「今更『青薔薇連合会』と完全に手を切るには、俺達は深く彼らに関わり過ぎた。まぁ、仕方がない部分も多かったが」
「…」
「しかも今回は、政治思想に影響しかねない問題だ。万が一俺達だけで事を抑えられなかったら、当然裏社会の彼らにも影響が及ぶ。彼らに黙って動いて、俺達がもししくじったら?その『帝国の光』とやらが、国内で内乱を起こす規模にまで発展したら?」
「…!それは…現時点では、有り得ないことでは…」
ルーシッドが、思わず反論しかけたが。
オルタンスは、相変わらず動じなかった。
「現時点では、な。だが、取るに足りないと思って放置していたものが、やがて大火となって襲い掛かってくることはある。ルレイア…かつてのルシファーが良い例だ」
…お前が言うと、説得力が違うな。
まさか、あのとき切り捨てたトカゲの尻尾が、『青薔薇連合会』の幹部にまで上り詰め。
俺達を追い詰める死神となるなど、誰も予想出来なかっただろうからな。
「それに今回は、政治絡みの問題だ。景気だって、完全に回復している訳じゃない。これから何がどう転ぶか分からない。ならば、大きな火事になる前に、彼らに協力を要請するべきだ」
「…」
…一応。
オルタンスには、オルタンスなりの考えがあったんだな。
…爪ばっか眺めてるが。
何だ、その幼稚園児並みの語彙力は…。
お前、本当に帝国騎士官学校の卒業生か?
「俺はルレイアに会いたい」
理由がもう、完全に幼稚園児。
何と言って説き伏せたら良いのか、と思っていたら。
アストラエアが、俺の代わりに火を吹いた。
「下らん私情で物を言うな!私情で動いて良い立場だと思っているのか!」
そうだ、良いぞ。もっと言え。
「…」
怒号を飛ばされても、オルタンスは涼しい顔。
「これ以上『青薔薇連合会』の手を借りるなど、帝国騎士団の威厳に関わる!これ以上我々に恥を…」
と、アストラエアが叱責を続けようとしたが。
オルタンスは、相変わらずの涼しい顔で。
「今更そんなことを言ってるのか?」
「…何?」
オルタンスは、アストラエアを見ることなく。
自分の爪を眺めながら言った。
いや、人と話をするときは相手を見てやれよ。
「最初に『青薔薇連合会』の手を借りたのは、『シュレディンガーの猫』の件だったか…」
…そんなこともあったな。
あの頃はまだ、隣国箱庭帝国が、憲兵局に囚われていた。
「あの時点で、俺達はもう、一度『青薔薇連合会』に頼ってしまったんだ。マフィアという組織の本質を知らないのか?」
「…何だと?」
「帝国騎士団は、『青薔薇連合会』の手を借りてしまった。一度でもこの事実がある以上、俺達の…尊厳?なんてものは、彼らの手の中だ」
…!
「俺達がこれから、いくら誇り高く国を守ろうとも、『青薔薇連合会』の機嫌を常に窺っていなければならない事実は変えられない。一度でも『青薔薇連合会』の機嫌を損ねれば、彼らは俺達が非合法組織の力を借りたことを…帝国騎士団の恥とやらを、声高に公表するだろう」
爪を眺めながら。
何でもないことのように、オルタンスは言った。
「今更『青薔薇連合会』と完全に手を切るには、俺達は深く彼らに関わり過ぎた。まぁ、仕方がない部分も多かったが」
「…」
「しかも今回は、政治思想に影響しかねない問題だ。万が一俺達だけで事を抑えられなかったら、当然裏社会の彼らにも影響が及ぶ。彼らに黙って動いて、俺達がもししくじったら?その『帝国の光』とやらが、国内で内乱を起こす規模にまで発展したら?」
「…!それは…現時点では、有り得ないことでは…」
ルーシッドが、思わず反論しかけたが。
オルタンスは、相変わらず動じなかった。
「現時点では、な。だが、取るに足りないと思って放置していたものが、やがて大火となって襲い掛かってくることはある。ルレイア…かつてのルシファーが良い例だ」
…お前が言うと、説得力が違うな。
まさか、あのとき切り捨てたトカゲの尻尾が、『青薔薇連合会』の幹部にまで上り詰め。
俺達を追い詰める死神となるなど、誰も予想出来なかっただろうからな。
「それに今回は、政治絡みの問題だ。景気だって、完全に回復している訳じゃない。これから何がどう転ぶか分からない。ならば、大きな火事になる前に、彼らに協力を要請するべきだ」
「…」
…一応。
オルタンスには、オルタンスなりの考えがあったんだな。
…爪ばっか眺めてるが。