The previous night of the world revolution~T.D.~
――――――…私は、寝室のベッドの中に横たわって。

ランプの灯りの下、机に向かってもう何時間も難しそうな本や紙の束(論文?)を読み。

更に、それらを読みながらさらさらと手を動かす、ルーチェス君の背中を見つめていた。

「セカイさんは寝てて良いですよ」と言われ、仕方なく私はベッドに入った。

大体私が起きてても、手伝えることは何もない。

私が、お隣のフューニャちゃんみたいに、料理上手だったらなぁ。

ルーチェス君に、夜食とか作ってあげるんだけど。

私がキッチンに立ったら、ルーチェス君の仕事が増えちゃうよ。

仕方なく、私はルーチェス君の邪魔をしないように、眠っていることにした。

けれど、あくまで眠っている振りだ。

ルーチェス君が、あんなに頑張ってるのに。

私だけ、ボケーッと寝てるのは気が咎める。

…そして、それ以上に。

私の頭の中は、ルーチェス君からの頼み事が、ぐるぐる回っていた。

「抽象画を描いてください」って言われて。

つい、よく分からないまま。

ルーチェス君の助けになりたくて、「任せて!」と答えちゃったのだが。

実は今、内心。

「えぇぇぇぇぇ抽象画って何〜っ!?私そんなの描けないよぉぉぉぉ!!」

…って、言ってる。心の中で。

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