The previous night of the world revolution~T.D.~
外に出て、マンションの駐車場に向かい。

車に乗り込み、外部からの盗聴の危険がなくなるなり。

僕は携帯電話を取り出して、華弦さんに連絡を取った。

え?車持ってたのかお前、って?

実は大型バイクまで持ってますよ、僕。

ほら、前ゴスロリ警察したときに乗ってた奴。

あれは自前です。

それはともかく。

「おはようございます。済みません、朝早くから」

『おはようございます…。どうされました?』

幸い、華弦さんはすぐ電話に出てくれた。

さすが。

「頼みがあるんです」

前置きは無しだ。

朝の挨拶をする余裕なんか、今はない。

とにかく、まず要件を言う。

『何をしましょう?』

「うちの家は知ってますよね?」

『可愛いフューニャのお隣でしょう』

「なら今すぐここに来て、僕の嫁を守ってください」

『分かりました』

ノータイムで即答。

さすがルレイア師匠が選んだ準幹部。話が分かる。

何があったの、とか、どうかしたのか、とか、一切聞かない辺りがもう。

でも、一応何があったのかについては、簡単に説明しておこう。

「うちのセカイさん宛に…あ、セカイさん知ってますよね?」

『えぇ。うちの可愛いフューニャの友達だそうで』

よっぽど妹が可愛いんですね。

『そして、今の私の警護対象でもあります』

「その警護対象宛に、盗聴器入りのぬいぐるみが送り付けられてきました」

『…!誰から?』

「不明です」

ゴミ箱に捨てられていた伝票を見るに、一応タヌキのマーチの製造元の名前が書いてあったが。

あれが偽装であることは、赤子でも分かる。

「これから僕は『青薔薇連合会』本部に行き、事の次第を説明し、セカイさんを逃亡させてもらうよう手配します」

『…そうですか』

「ですからその間、セカイさんの傍で警護しててください。住所が知られている以上、何をされるか分かりません」

『…そうですね、分かりました。すぐに向かいます』

「お願いします」

それだけ言って、僕は電話を切り。

そして、そのまま『青薔薇連合会』本部に向かった。
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