The previous night of the world revolution~T.D.~
「…え…」

「自分から危険に飛び込もうとするところ、ルレイアそっくりだ。ルレイアには幸い俺が付いてるから、なんとか制御も出来るが。お前に嫁がいて良かった。嫁がセーフティになってくれる。嫁がいなかったら、お前、引き際も弁えずに突っ走るだろ」

…全くだね。

守る者があるというのは、大切なことだよ。

自分を危険から守ってくれる。

「お前は充分よくやった。もう充分だ」

「そうだね。危険を伴う任務に、よくここまで付き合ってくれた。ありがとう、助かったよ」

「…ルルシーさん…。アイズさんも…」

すると。

半分寝惚けていたアリューシャまでもが、ハッと覚醒した。

「そーだそーだ!ルー公をあれだ…寝惚けたへなちょこだって言う奴がいたら、アリューシャがライフルぶっ放してやるからな!」

「寝惚けてたのはお前だろ、馬鹿」

すかさずルルシーにツッコまれていたが。

アリューシャに馬鹿って言わないであげて。

アリューシャには、品のある言葉を教えてあげたいと思ってるから。

「でも…『赤き星』から手を引くとなると、帝国騎士団との契約は…」

「そうだね、反故にすることになる…。でも、それが何?仲間を守る為に、引き際は私達が決めて良いと事前に約束してる」

そして、今がそのときだ。

仲間に危険が及ぶなら、私達はそのときに退く。

ルーチェスは思っているだろう。自分のせいだ、と。

しかし、それは違う。

「良い、ルーチェス。君がここで退いたからって、それで君の功績がなかったことになる訳じゃない」

「…」

「そして君には、大事な守るべきものがある。スパイ活動なら、ルレイアやルリシヤが続行してくれる。『赤き星』が危険な組織だと分かっただけで、もう充分だ。だから、君は安心して身を引けば良いんだ」

「…済みません」

「大丈夫だよ。それに、君にはまだ他にやってもらうことが…」

と、言いかけたとき。

ずっと沈黙を守っていた彼女が、声を上げた。

「…私が行くわ」

「…え?」

シュノだった。

ルーチェスもルルシーもアリューシャも、三人共驚いていたが。

私は、いつかこうなるのではないかと思っていた。
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