The previous night of the world revolution～T.D.～

「え…シュノ…。行くって、お前…ど、何処に？」

ルルシーが、言葉に詰まりながら尋ねた。

「私が行く。ルーチェスの代わりに、ローゼリア学園大学に潜入するの。『赤き星』についても、私が調べるわ」

シュノは、迷いを断ち切るように、きっぱりと言った。

そう。

やっぱり君は、既に覚悟を決めていたんだね。

「え、ちょ…。シュー公が！？何で！？」

「アイズは司令塔として、『青薔薇連合会』に必要だわ。アリューシャも。ルルシーだって、連絡係として必要。手が空いてるのは私だけよ」

そう言うと思った。

「だ、だからってお前…！危険な任務なんだぞ！」

ルルシーが、慌ててシュノを止めた。

しかし。

「その危険な任務を、私よりずっと後輩のルーチェスがこなしていたのよ。私が臆する理由にはならない」

「いや、それはそうだけど…！でも…お前は…」

「…失礼ですが、シュノさん。学歴をお聞きしても？」

ルルシーが何とか、言葉をオブラートに包んで言おうとしたことを。

ルーチェスは、容赦なくシュノにぶつけた。

そういうところも、師匠にそっくりだね、ルーチェスは。

「…学校にはまともに通ってないわ。中学すら。当然高校にも行ってない」

恥じることはない。

私だって同じだ。

「そうですか。なら…本当に失礼で申し訳ないですが…あなたの学力で、私立ローゼリア学園大学に潜入するのは、無理があるかと」

「ルーチェス…！」

あまりにきっぱりとした物言いに、ルルシーが咎めるような声を上げたが。

シュノは、分かっているという風に首を振った。

「そうね、私はあなたやルレイアやルリシヤのように、賢くはないわ。学校にも通ってない。それに、ローゼリア学園大学がどれだけ偏差値の高い大学であるかは、誰でも知ってることだわ」

「…」

その通りだ。

元々、ルーチェスがスパイ組に選ばれたのは、彼がそれなりの高い学力を持っているからだ。

そして私立ローゼリア学園大学は、ルティス帝国の学生なら、誰もが知る名門大学。

毎年高い倍率を誇る、超難関大学だ。

そんな大学に、まともに学校に通ったこともない、貧民育ちの私やシュノが、入れるはずがない。

しかし、それでも。

それを分かっていながら、なお。

「だけと、私もたくさん勉強したわ。こんなときの為に。ルレイア達三人の誰かが、突然退かなければならなくなったとき、代わりになれるようにって。ずっと勉強してたの」

ルルシー達は、シュノの告白に呆気に取られていたが。

私は、何となく察していたから、さして驚きはしなかった。

つまるところ、シュノが部屋にこもって、何をしていたのかと言うと。

彼女はさながら受験生のように、部屋にこもって、ずっと試験勉強していたのである。