The previous night of the world revolution~T.D.~
…と、いうのはまぁ…冗談として。

「…ルーチェス殿」

「はい」

「ちなみに、あなたにその命令?をしたのは…」

「勿論、僕の師匠です」

ですよね。

いかにも、あの人が言いそうなことだよ。

むしろ、あの人でもなければ、そんなことは人様に言いません。

悪かったな。経験人数一人で。

「男たる者、100匹は食べないと一人前とは言えないそうですよ。いやぁ憧れますよね〜。さすが僕の師匠」

「…」

あの人に、恐怖と畏怖の眼差しを向ける人は、大勢いると思うが。

羨望の眼差しを向ける人を、初めて見た。

憧れません。

「聞いたところによると、ルアリスさん」

「は、はい」

「あなたは、僕がルレイア師匠に会う前に、ルレイア師匠に師事していた時期があるとか」

「あ、えぇと…」

師事していた…と言うか。

「まぁ…そうですね。あの方には、色々と大切なことを教えてもらいました」

「大切なこと?夜のテクとか?」

「…革命軍の維持や、国を守る為に必要なことです」

あなたは、間違いなくルレイア殿の弟子ですね。

「そうですか…。謂わばあなたは、僕にとってある種の兄弟子に当たる訳ですね」

「あ、兄弟子…。いや、そんな…。俺ごときがルレイア殿の弟子だなんて、恐れ多くて…」

確かに、国造りに必要なことは学びましたが。

その…ルレイア殿の…謂わば「本職」のことについては…そんなに。

学びたくなかったと言うか…。教えられても困ると言うか…。

いやいや、セトナさんと結婚出来たのは、ルレイア殿の強引な押しの賜物だろう、と言われれば、その通りなんだけども…。

「なんて謙遜してますが、正直僕は、あなたに若干の嫉妬を覚えていますね」

「え、嫉妬?」

何故?

「だって、僕より先に、ルレイア殿に師事されていたんでしょう?なんて羨ましい!贅沢ですよ」

「…」

…えぇと。

それはその…。

…ごめんなさい。

何で俺が謝っているのだろう。

「しかしそれでも、期間限定で指南を受けていたあなたと違って、僕はルレイア殿が認めた、正真正銘、現役のルレイア殿の弟子です」

「は、はぁ」

「故に、最早僕の方が兄弟子と言っても、過言ではありませんね。尊敬してくれても良いですよ?」

「…はぁ…」

「そんな訳なので、不甲斐ない弟弟子の為に、親切な兄弟子が隣国から遥々、色々なことを教えてあげに来ましたよ」

「…」

…この、無駄に恩着せがましいところ。

さすが、ルレイア殿の弟子と言ったところか。

「…それは、ルレイア殿の指示で?」

「はい。師匠に言われたので」

「何でまた…そんな、いきなり…」

…ん?

ちょっと待てよ。

ルーチェス殿、さっき…。不穏な言葉を口にしていたよな?

確か…。

「…亡命って、さっき言ってましたけど…。あれは、どういう意味ですか?」

「?言葉通りの意味ですけど」

いや、そんなサラッと言うことではないと思うんだが。

亡命…だって?
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