The previous night of the world revolution~T.D.~
「皆、今日は朗報がある。先日も一部の者には紹介したが、俺達『帝国の光』の『裏党』に、新たなメンバーが入った」
『帝国の光』のリーダー、ヒイラ・ディートハットは、爽やかな声でそう言った。
そして、俺を皆の前に出して紹介した。
「ルニキス・エリステラ。まだ若いが、頭が良いし、何より革命精神に満ち溢れている闘士だ!皆、新しい仲間を歓迎しよう」
ヒイラは、俺の背中を軽く叩いてそう言った。
すると、会議室にいた全員が、拍手で俺を迎えてくれた。
温かい拍手…のようには見えないが。
それでも俺は、彼らの前で挨拶し、一礼して見せた。
進んで、疑われるような真似をする訳にはいかないからな。
あくまで、革命精神とやらに富んだ革命戦士の振りをしておこう。
と言うか、前回『裏党』の会議で紹介されたときは、『裏党』党員全員が集まっていた訳ではないのか。
今日はあのときよりも、明らかに人数が多い。
まさか、『裏党』党員がこれほどにいるとは。
そして。
「さて、じゃあ、新しい同志の紹介もしたことだし…。今日の会議はまず、この論文を読むことから始めよう」
ヒイラ総統はそう言って、俺達に一部ずつ、論文を配った。
何だこれは、と。
手元の論文の冒頭を見て、俺は目を見開いた。
その論文の筆者は、ルクシア・セレネ。
他ならぬ、『赤き星』に潜入中の、ルーチェスの偽名だったからだ。
何で、『赤き星』にいるはずのルーチェスの書いた論文が、ここにある?
仮面の下に動揺を隠しながら、俺は素直に疑問を口にすることにした。
「同志ヒイラ」
「ん?何だ?」
「これは、誰の論文なんだ?見たことのない名前だが」
嘘である。
見たことがあり過ぎる名前だからこそ、気になって仕方がない。
「あぁ、これは私立ローゼリア学園大学にある共産主義サークル、『赤き星』のメンバーが書いた論文なんだ」
…やっぱり、ルーチェスの。
「何故、学生サークルの論文が、こんなところに?」
「『赤き星』は、『帝国の光』の同志なんだ」
そこで俺は初めて、『赤き星』と『帝国の光』が繋がっていたことを知ったのだった。
「『赤き星』は、比較的過激な奴が多くてな。まぁ、その分頼もしい同志を集めてくれる、大事な仲間なんだが」
「…」
「『赤き星』は基本的に、三年生以上の学生しか入党させない方針らしいんだが、どうしても入りたい、ってことで、今年、一年生が入党してきたらしいんだ」
知ってる。
ルーチェスのことだろう?
「でも、『赤き星』の同志…サナミア党首が、どうにもそのルクシア・セレネという一年生を信用出来ないみたいでさ」
「…」
「本人に論文を書かせて、俺達に読んでもらって、判断を仰ごうって決めたらしい。それで、彼の論文がこっちに回ってきたんだよ。『赤き星』の同志達の為に、適切な助言が出来るよう、俺達でこの論文を読んで判断しよう」
…笑顔で。
言うことではないだろう。
同志同志と言いながら、論文を書かせ、それを読んで審査する時点で。
ルーチェスのことを、全く信用していない証ではないか。
『帝国の光』のリーダー、ヒイラ・ディートハットは、爽やかな声でそう言った。
そして、俺を皆の前に出して紹介した。
「ルニキス・エリステラ。まだ若いが、頭が良いし、何より革命精神に満ち溢れている闘士だ!皆、新しい仲間を歓迎しよう」
ヒイラは、俺の背中を軽く叩いてそう言った。
すると、会議室にいた全員が、拍手で俺を迎えてくれた。
温かい拍手…のようには見えないが。
それでも俺は、彼らの前で挨拶し、一礼して見せた。
進んで、疑われるような真似をする訳にはいかないからな。
あくまで、革命精神とやらに富んだ革命戦士の振りをしておこう。
と言うか、前回『裏党』の会議で紹介されたときは、『裏党』党員全員が集まっていた訳ではないのか。
今日はあのときよりも、明らかに人数が多い。
まさか、『裏党』党員がこれほどにいるとは。
そして。
「さて、じゃあ、新しい同志の紹介もしたことだし…。今日の会議はまず、この論文を読むことから始めよう」
ヒイラ総統はそう言って、俺達に一部ずつ、論文を配った。
何だこれは、と。
手元の論文の冒頭を見て、俺は目を見開いた。
その論文の筆者は、ルクシア・セレネ。
他ならぬ、『赤き星』に潜入中の、ルーチェスの偽名だったからだ。
何で、『赤き星』にいるはずのルーチェスの書いた論文が、ここにある?
仮面の下に動揺を隠しながら、俺は素直に疑問を口にすることにした。
「同志ヒイラ」
「ん?何だ?」
「これは、誰の論文なんだ?見たことのない名前だが」
嘘である。
見たことがあり過ぎる名前だからこそ、気になって仕方がない。
「あぁ、これは私立ローゼリア学園大学にある共産主義サークル、『赤き星』のメンバーが書いた論文なんだ」
…やっぱり、ルーチェスの。
「何故、学生サークルの論文が、こんなところに?」
「『赤き星』は、『帝国の光』の同志なんだ」
そこで俺は初めて、『赤き星』と『帝国の光』が繋がっていたことを知ったのだった。
「『赤き星』は、比較的過激な奴が多くてな。まぁ、その分頼もしい同志を集めてくれる、大事な仲間なんだが」
「…」
「『赤き星』は基本的に、三年生以上の学生しか入党させない方針らしいんだが、どうしても入りたい、ってことで、今年、一年生が入党してきたらしいんだ」
知ってる。
ルーチェスのことだろう?
「でも、『赤き星』の同志…サナミア党首が、どうにもそのルクシア・セレネという一年生を信用出来ないみたいでさ」
「…」
「本人に論文を書かせて、俺達に読んでもらって、判断を仰ごうって決めたらしい。それで、彼の論文がこっちに回ってきたんだよ。『赤き星』の同志達の為に、適切な助言が出来るよう、俺達でこの論文を読んで判断しよう」
…笑顔で。
言うことではないだろう。
同志同志と言いながら、論文を書かせ、それを読んで審査する時点で。
ルーチェスのことを、全く信用していない証ではないか。