The previous night of the world revolution~T.D.~
どうだ。

いかにも、ルレイア先輩が好きそうな名前だろう?

店内の内装も、完全にルレイア先輩仕様。

基本的に、ルレイア先輩が営業している夜のお店は、男性客が相手の店が多い。

女性の従業員が、男性客相手に、やんわりほっこりねっとりがっつりチョメチョメする店だな。

だが、忘れてはいけない。

ルレイア先輩は、両刀使いである。

ちなみに、そんなルレイア先輩の弟子であるルーチェスも、両刀使いである。

ついでに両剣使いでもある。

故に、男性客相手ではなく、女性客を相手に、男性従業員がチョメチョメする店も、少なからず存在する。

いやぁ、さすがルレイア先輩。何処にどんな需要があるか、よく分かっていらっしゃる。

ちなみにこの店は、ルレイア先輩区分によると、「ほのぼのえっち」な店なので。

身体的なサービスはほとんどなく、主に悩める女性達と、イチャイチャお喋りする程度の店である。

勿論、「がっつりえっち」なお店も存在するが。

さすがに俺は、そこはノーサンキューなので。

そもそも、俺はルレイア先輩の経営する店で働きたい訳ではない。

重要なのは、ここがルレイア先輩の、『青薔薇連合会』の経営する店であるということだ。

つまりここなら、俺は『青薔薇連合会』のルリシヤ・クロータスでいられる。

俺達『青薔薇連合会』の、ホームグラウンドだからだ。

表向きには、歓楽街にある高級ホストクラブだが。

その裏では、『青薔薇連合会』の息がかかっていることは、知られていない。

従業員は知ってるけどな。

『black sacrifice』の従業員達は、俺の正体を知っている。

だから、ここでなら、多少のボロを出しても構わない訳だ。

自分の容姿を自慢に思ったことはないが、ホストクラブで働けるだけの顔で良かったと、今更ながら思う。

まぁ俺の場合、仮面を被っているから、素顔なんて、あってないようなものだ。

ふふふ。

…とはいえ。

『black sacrifice』も、完全に安全な場所とは言えない。

従業員達がこちら側の人間でも、ここを利用する女性達は、向こう側の人間だからだ。

スパイの俺が言うのもなんだが、『帝国の光』のスパイが、客を装って『black sacrifice』を訪れるかもしれない。

本当に、俺がここで働いているのか確かめる為に。

部屋中に監視カメラを仕掛けるくらいなのだから、それくらいのことは平気でしてくるだろう。

だから、俺はいつ『帝国の光』から偵察が来ても良いように、『black sacrifice』のホストとして働かせてもらっている。

エセホスト、ルリシヤ爆誕。

そしてこれは、面倒なことばかりではなく。

むしろ、これが有意に働くこともある。

そして、その日も。
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