The previous night of the world revolution~T.D.~
おまけに。

「え、そうなんですか?凄いじゃないですか」

「ふふ、そうでしょう?可愛いフューニャの為に、シェルドニアからケーキを取り寄せたんですよ」

「へぇ〜。妹さん思いなんですね」

俺達は、ただ黙って、3倍速で監視カメラを眺めていれば良い訳ではない。

いつ『帝国の光』の監視員に見られても良いように、それらしく、にこやかに会話をしていなければならないのだ。

俺の仮面百面相の前には、作り笑いなど余裕だが。

華弦は、つまらないだろうな。

…と、思ったが。

「そのケーキを、それはそれは美味しそうに食べていて…。ふふふ。なんて可愛いんでしょう私の妹は」

「…」

…なんか、満更でもなさそうだな。

シスコンか?

兄弟に恵まれなかった俺には、よく分からない心理だが。

兄弟仲が良いのは良いことだ。

と言うか、シェルドニアから取り寄せたケーキって…まさか、あの悪名高いシェルドニアケーキのことか?

俺も食べたことあるぞ。シェルドニアで、ルルシー先輩とイチャイチャ二人暮らししていたときに。

何も言わずにルルシー先輩に出したら、普通に「グロいばっかりのシェルドニア料理でも、ケーキは普通なんだな」とか言って、もぐもぐ食べていたので。

「ルルシー先輩、それカブトムシの幼虫だぞ」と教えてあげると。

見事に噴き出していて、面白かった。

ちなみに、そのとき盗撮した映像は、きちんと夫であるルレイア先輩に提供してある。

ルレイア先輩は、それはそれは嬉しそうににゅふにゅふ言っていた。

後輩として、俺は良い仕事をしたものだ。

「確か占いが上手なんですよね、あなたの妹さん」

なんだか、妹の話をしていたら、華弦の機嫌が良いみたいなので。

盗撮動画を眺めながら、華弦の妹の話を続ける。

シュールな光景だ。

「えぇ、そうなんです」

目がキラキラ輝いていらっしゃる。

完全なるシスコン。

「あの子は私と違って、秘境の里の血を濃く受け継いでいるんです。あの子の手に掛かったら、何でもお見通しですよ」

「へぇ〜…ご自慢の妹さんですね」

「はい」

そこは嘘でも謙遜するところでは?

さすが、ルレイア先輩直下の部下。満面の笑みで即答してくれた。

「そういえば、シェルドニアでの一連の事件で、お宅の妹さんには助けられましたよ」

「あら、そうなんですか?」

「はい。俺が送った暗号データを、アイズ先輩に届けてくれましてね。何も知らせてはいなかったので、破棄されるかと思ったんですが、見事に気づいてくれました。これも彼女の直感性の鋭さ、」

「そうでしょう?私の妹は、とても賢い子なんです」

俺、まだ話してる途中だったぞ。

成程、実にルレイア先輩の部下だ。

「全く、本当に私の可愛いフューニャは、世界一可愛いいもう、」

「ん?ちょっと待ってくれ」

今、画面に何か映った。
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