The previous night of the world revolution~T.D.~
「元々は健康祈願のお守りのようなもので、今ではその人の安全、幸福を祈願する意味もあるんです」

「へ、へーぇ…」

俺だったら、こんなの渡されたら、呪われてるのかと思うけどな。

「あ、安全祈願の割には…なんか、その…グロい、な」

「えへへ」

褒めた覚えはないのに、なんか照れてる。

可愛いから良しとしよう。そうしよう。

「で、でも…こんなの見たら…皆、その…び、びっくりしないか?」

「え?それが良いんじゃないですか」

良いの?

悪くね?

「秘境の里では、病に苦しむ人には、このお面をお見舞いにプレゼントするのが定番ですよ」

嘘だろ。

秘境の里怖っ。

そこはさぁ…花束とか…フルーツとかさぁ…。

「起源は、病で弱った人の枕元に、おどろおどろしいお面を置いて、お面を見た病原菌が恐れを為して、病人の身体から出ていくだろう、という意味で使われていたそうですよ」

「あ、あー…」

成程…そういう意味があるのか。

ちょっと…納得…?

何だろう。原理は理解出来るんだけど、でもそうじゃないだろ感が凄い。

…で、気になることが二つ。

「このお面は…誰の為に作ったんだ?」

少なくとも…俺の周りに、病で苦しむ人はいないぞ。

誰の為に作ったんだ?

「お隣の、アンブローシア夫妻の為です」

「…!」

「いきなり、しばらく外国に出張に行く…って、慌ただしく出ていかれましたから。ちょっと、占ってみたんです」

「…」

…そういうことか。

俺はアンブローシア夫妻が、今何処にいるのか、何故そこにいるのかを、ルルシーさんから知らされているが。

それを、フューニャに教える訳にはいかない。

『青薔薇連合会』の中でも、秘匿事項とされているからだ。

俺や華弦お義姉さんのような、準幹部以上の人間しか知らない。

でも…フューニャには、ご自慢の占いがある。

それを使って、きっと、ある程度のことは予測出来たのだろう。
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