The previous night of the world revolution~T.D.~
突然の問いに、彼女達はびっくりしたような顔をした。

…ちょっと唐突過ぎたか?

でも、悠長にしている暇はない。

ここは、攻めるときだ。

「ルナ、学生会に入りたいの?」

「うん。高校のとき…その、ずっと生徒会に入ってたから」

勿論、作り話だ。

生徒会どころか、高校にすら行ってない。

でも、今はそういうことにしておく。

「一年生からでも入れるんだよね?」

「勿論」

「それって、どうやったら入れるの?」

「そうだなー…。大体は誰かからの推薦とか、スカウトで入るって聞くけど…」

推薦…スカウト…。

入学したばかりの私には、全く縁のない話だ。

しかし。

私の目に、狂いはなかった。

「そんなに入りたいなら、栄養学部にいる私の幼馴染みを紹介しようか」

「えっ?」

「私の幼馴染み、学生会に入ってるんだ。彼女に口添えしてもらえば、多分ルナも入れるよ」

「本当?良いの?」

「そんなの、お安い御用だって」

勝った。

私は、そう思った。

「メール送っとくよ。学生会入会希望の子がいるって」

「ありがとう…!」

「良いって良いって。ほら、もう授業始まるよ」

「あ、そうだね」

話がまとまったところに、教授が教室に入ってきた。

こうして、私の人生初の、大学での講義が始まった訳だが。

私の頭にあるのは、講義の内容ではなかった。

そんなことは、正直どうでも良かった。

私は勝った。

賭けに。

私が最初教室の隅で、学生達を眺めていたのは、これが理由だ。

私は出来るだけ、交友関係の広そうな…所謂、「陽キャ」的なグループがどれか、吟味していたのだ。

彼女達なら、学生会に縁のある人を知っているかもしれないから。

そして、私の目に狂いはなかった。

私が声を掛けた四人組は、いかにも「陽キャ」グループみたいで、これなら行けると思ったのだ。

どうやって、「陽キャ」と「陰キャ」を見極めたのかって?

そんなの簡単だ。

私が、一番話しかけづらいグループ。

それが、陽キャのグループだ。

だって、他でもない私が、一番の陰キャなんだもの。

私とはとても仲良くなれないだろうな、と思うグループに、声をかければ良い。

そして、見事にその作戦は刺さった。

これで、学生会へのパイプが繋がった。
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