The previous night of the world revolution~T.D.~
「同好会とかサークルの活動費って、サークルの規模や活動内容によって、学生会の同好会委員が決定してるの」

な、成程。

その同好会委員が、同好会達の活動資金…つまり、お財布の中身を管理してるのね。

あなた達にはこれだけ、あなた達にはこれだけ、みたいに。

「こっちは査定表に基づいて査定してるんだけど、これが結構、文句が多いの。もっと資金をくれないと困る〜、って」

やれやれと言った風に、ユミノちゃんが言った。

そうね。そうなるでしょうね。

同好会委員が、各サークルの財布の紐を握っているなら。

「もっと活動資金寄越せよ派」が出てくるのは、当然のことだ。

「でも、こっちだって、限られた資金の中でやりくりするしかない訳じゃん?」

「そうだよね…」

「それなのに、向こうはもっともっとって、簡単に言ってくれるよ。それに…」

それに?

「何処かしらのサークルに加入してる学生が、学生会で同好会委員を兼任してる場合、もっとややこしくなるの」

「あ…。分かった、『あんたの入ってるサークルだけ贔屓してるだろ』みたいな…」

「そうそう、必ずそれ言われるの」

学生会に入っている学生のほとんどが、いずれかのサークルにも入っている。

生徒会やりながら、クラブ活動もやっているようなものだ。

で、サークルの懐事情を把握している、学生会の同好会委員が、何処かしらのサークルに所属していたら。

どうしても、「お前、自分のサークルだけ資金増やしたりしてるんじゃないの?」って、疑いの目で見られる。

成程。それは当然の心理だ。

「大抵の学生が、学生会とサークル兼部してるから、どうしても同好会委員はなり手が少ないのよ。私も、テニスサークルに入ってるんだけど…」

そうなんだ。

「別のスポーツサークルの人に、『自分のサークルだけ、遠征費増やしてるんじゃないのか?』って言いがかりつけられちゃって」

「…あちゃー…」

「もう、あったま来ちゃって。それっきり、同好会委員はやめたわ。それで今は、学生ボランティア委員をやってるの」

そんな係もあるんだね。

「ルナちゃんは、どれやりたい?」

「…」

…何がやりたいかなんて、そんなの決まってる。

状況が、ここまで私をお膳立てしてくれているのだ。

ならば、私の取るべき選択肢は、一つだけ。

「私、同好会委員やるわ」

「えっ、本当に?」

「うん」

だって、そうじゃなきゃ意味がない。

苦労して、ここに来た意味が。

「大変だよ?忙しいよ?」

「大丈夫。私、他のサークルには入ってないし。言いがかりつけられることもないよ」

言いがかり云々は、口実だ。

言いがかりをつけられようが、そんなことはどうでも良い。

そうだ。

私のやるべきことを忘れるな。

「私なら大丈夫。任せて」

私も、ルレイアやルリシヤやルーチェスのように。

きっと、皆を…家族を、守ってみせるから。
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