The previous night of the world revolution~T.D.~
…とはいえ。

「はぁ〜、ルナさんが来てくれて助かるよー」

「は、はぁ…」

「同好会委員って、本当人手不足で…。ルナさんは、他のサークルには入ってないんでしょ?」

「そ、そうですね」

「そっかぁ。本当助かるよー。俺、バスケサークルと掛け持ちだからさー、なかなか学生会の方には顔出せなくて」

「…」

…つまり。

何処のサークルにも同好会にも入ってない私が、同好会委員の仕事全部やってね!

…って、ことなのだろうか。

すると、案の定。

「これ、先月と、今月のサークル活動費の一覧」

ドサッ、と白い紙の束をテーブルに置く、同好会委員仲間の先輩。

「そこに、月ごとに今までの活動費一覧のファイル、並べてあるでしょ?」

「…はい…」

彼の指差す本棚には、月ごとにラベル付けされた分厚いファイルが、ズラリと並べられていた。

「今月の分も、早くまとめなきゃならないんだけど、そもそも先月の分もまだ出来てない有様でさー」

「…」

…私が言うのもなんだけど。

…怠慢。

「こっちが先月分、こっちが今月分ね。それぞれ、ファイルにまとめてもらえる?」

そんな、近所のコンビニにお使い頼むみたいなノリで。

自分から同好会委員に立候補した以上、何をやらされても断らないつもりだけど…。

しかも。

「俺、この後バスケサークルの練習行かないといけないんだよねー」

私にだけ押し付けておいて、自分はサークル活動の方に行くと。

そういうことね。

「時間かかっても良いから。宜しくね、ルナさん」

「…分かりました…。やっておきます」

「いやぁ、本当頼もしい新人が来てくれたなぁ。助かるよー、ありがとー」

「…」

「じゃ、俺もう行くね」

押し付けるだけ押し付けておいて、ササッと退室する先輩。

…。

…別に、怒ってなんかないよ?

むしろ、ルレイアや、『青薔薇連合会』の仲間以外の男の人と、二人きりで作業するなんて、嫌だったから。

一人の方がマシ。

それに、本業のスパイ活動だって、一人でいた方がやりやすい。

だから、別に。

新人に面倒臭い仕事、山程押し付けておいて、自分はサークル活動に逃げる、なんて。

卑怯な奴だ、なんて、別に思ってないから。

…ふんだ。

これだから、家族以外の男は嫌いなんだ。

なんて思ってても仕方ないので。

私は、分厚い書類を前に、パイプ椅子に座った。
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