The previous night of the world revolution~T.D.~
確かに、面倒な仕事を押し付けられて面倒だけれど。

しかし、密室で、一人で作業出来るのは有り難い。

どれだけ私が不審な動きをしていようと、誰も見咎める人はいないからだ。

私は早速、各サークルの活動費の紙束を、一枚ずつ穴開けパンチを使って、パチンパチンと穴を開け。

それを一枚ずつ、ファイルにまとめていった。

…パチン。

…パチン。

…パチン。

「…」

室内に響くのは、穴開けパンチの無機質な音ばかり。

成程、こんなことずっとしてたら、つまらないを通り越して、自分が機械になった気分。

先月分まで溜め込んでしまうのも分かる。

でも良いもん。

『青薔薇連合会』にいるときだって、似たようなことしてるもの。

それどころか、ちょっと前まで、一日中机に齧りついて、受験勉強に頭を悩ませていた。

それを思えば、こんな単調な仕事、なんてことない。

ルレイアやルリシヤは、もっと危険な任務を、頑張ってこなしてるんだから。

こんな毒にも薬にもならない仕事、鼻歌の一つでも歌いながら、簡単にやってしまえば良いのだ。

…うん。

あれこれと、自分を慰めてみたけれど。

つまらないものは、やっぱりつまらなかった。

活動費一覧には、サッカー同好会とか水泳部とかベースボールクラブとか、色々あって。

この大学って、こんなにサークルたくさんあるんだ、と内心驚いていた。

…要る?こんなに。

野球部とかサッカー部とか、テニス部とか、吹奏楽部辺りは、定番だなーと思うけれど。

ボルダリングサークルとか、ボクシングクラブとか、スキー同好会とか。

この辺は、何だかマニアックっぽくて、メンバーいるのかな?って思う。

でも、活動費によると、これでもそこそこメンバーがいるのだ。

しかも、スキー同好会なんて、「遠征費」と称して、かなりの金額を学生会からもらっている。

そうね、暑いところじゃ、スキーなんて出来ないものね。

わざわざ大学のサークル活動の為に、こんなお金使って、スキー場に遠征に行くなんて。

あなた達、本業は学生なんだから、スキーよりも勉強しなさいよ、と私は思うけれど。

まぁ、きっとそういうものなんだろう。

それに、スキー同好会なんて、まだ可愛いもの。

果ては、お笑いサークルなんてものもある。

何これ。

ローゼリア学園大学まで来ておいて、将来お笑い芸人にでもなりたいのだろうか。

しかも、そこそこ人数集まってるし。

こんなふざけたサークルにまで、活動費を与えなきゃならないなんて。

馬鹿馬鹿しくて、お笑いサークルより、こちらの方が余程笑いが出てくるようだ。
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