The previous night of the world revolution~T.D.~
全く、この人達と来たら。

勉強しに来たのか、遊びに来たのか…。

いずれにしても、薄汚れた路地で、追い剥ぎのようなことをしながら、日々を生きてきた私にとっては。

何て言うか、ちょっとムカムカしてくる。

成程、このムカムカが高じて、共産主義組織が台頭してきたんだね。

何となく、分かる気がしなくもない。

私が今も、『青薔薇連合会』に拾われず、未だに路上生活をしていたなら。

きっと、喜んで『帝国の光』に入り、熱心な共産主義者になっていたんだろうな。

でも今は、違うから。

私が選んだのは、そちら側じゃないから。

あなた達とは、同じ道を歩くことは出来ない。

すると。

「…!」

私は、ようやくお目当ての書類を見つけた。

他でもない、『赤き星』の活動費を記した書類である。

「これは…先月の…」

ルーチェスがいたときの、先月の活動費だ。

私は咄嗟に、先程ファイルにまとめたばかりの、他の少数精鋭サークルの活動費を見た。

点字サークル、天体観測サークル…。これらも、サークルメンバーは六、七人の少数精鋭サークルだが。

『赤き星』もまた、ルーチェスを合わせて、僅か七人の少数精鋭サークルだというのに。

他の少人数サークルと比べて、驚くほど活動費が多い。

…多分、それだけ活動が盛んだということなんだろうけど。

ルーチェスの報告によると、『赤き星』は、それほど活動費を必要とする…。

有り体に言えば、お金のかかるサークルではないはずだ。

スポーツサークルなら、ユニフォームや各種スポーツ用品、さっきのスキー同好会みたいに、遠征の為に費用がかかるのは理解出来る。

スポーツじゃなくても、例えば吹奏楽部でも、楽器代やコンクールへの参加費用、コンサートを開くにもお金がかかる。

ルレイアも、よく言ってるもん。彼は、『frontier』というアイドルグループをプロデュースしてるから。

「『frontier』は基本的に、何をやっても採算が取れるから良いですけど。他の売れないバンドは、活動するだけでも赤字になりかねないから大変ですよねー」って。

だから、スポーツだけじゃなくて、音楽関連のサークルも、お金がかかるのは分かるけど。

『赤き星』は違うだろう。
< 384 / 820 >

この作品をシェア

pagetop