The previous night of the world revolution~T.D.~
ルーチェスが報告してきた内容によると。

『赤き星』の主な活動内容は、昔の共産主義者の著書や論文を漁ってきて。

その内容について話し合い、自分の意見を述べる。

…端的に言えば、これだけ。

あまりに結束力が固いサークル故に、他の組織が開催する講演会とかには、全然行ってないみたいだし。

だから、かかる費用と言えば。

精々、共産主義に関する本の代金くらい。

論文に関しては、大学の図書館から、無料でダウンロード出来るみたいだし…。

本代だけで、何でこんな金額になるの?

私は、活動費の詳細をじっくりと眺めた。

…成程。

『赤き星』っていうのは、相当な嘘つき集団みたいだね。

この活動費報告書によると、『赤き星』は。

毎月のように、国内各地で行われている共産主義者の講演会に出掛けているし。

共産主義に関する本や雑誌や新聞を、毎月何十冊も買い漁り。

果ては、部室の備品がよく壊れたり、先月はエアコンの調子が悪いとかで、新しく新調する為の費用を請求してきてる。

こんなの、絶対に嘘だ。

私は立ち上がって、活動費ファイルのバックナンバーを開き。

念の為、二ヶ月前や、三ヶ月前の活動費報告書を確かめてみた。

すると、やっぱり『赤き星』だけ、異常に活動費が多い。

見て、4月のこの報告書。

新人歓迎会の名目で、かなりの金額をもらってる。

新人歓迎会なんて嘘ばっかり。ルーチェスは、そんなこと一言も言ってなかった。

ルーチェスを歓迎するどころか、冷たく追い返そうとした癖に。

白々しいにも程がある。

怒りを覚えながら、私はバックナンバーファイルを本棚に戻した。

そして次に見たのは、今月の『赤き星』の活動費だ。

きっと今月も、様々な口実を使って、活動費を搾り取ってるんだろう。

すると。

「…えっ…」

今月の『赤き星』の活動費。

それを見て、私は思わず目を疑った。
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