The previous night of the world revolution~T.D.~
翌日。
昨日、私に面倒な書類仕事を任せてきた、先輩同好会委員の学生に。
私は、『赤き星』のことを聞いてみた。
彼らが、明らかに小規模サークルとは思えないほどの活動資金を使っているのは、明白な事実であり。
三年生以上の学生じゃないと入会させないとか、勝手なルールを作っているのも、事実。
当然、同好会委員だって、それくらい把握しているはず。
それなのに、何故それを野放しにしているのか?
その理由を聞きたかったのだ。
すると。
「あー…。『赤き星』ね…」
その名前を出すなり、彼は渋い顔をしてみせた。
「明らかに、活動資金使い過ぎじゃないですか。何で注意しないんですか?」
「うーん…。まぁ、そうなんだけど…」
何。この歯切れの悪い返事。
「あいつらってさぁ…なんか、手出ししづらいって言うか…。前に別の委員が言ったことあるんだけど…。論破されたのか、結局『もう放っとこう』みたいになって…」
…何それ。
一回論破されたら、もう放置で良いの?
そういえば、無駄に言い訳だけはキチンとしてると言うか、悪びれもしなかったもんね。
向こうがあんまり開き直るものだから、こちらも手出し出来なかったって?
馬鹿馬鹿しい。
それでも、本当に同好会委員か?
「でも、不公平じゃないですか。他にも活動資金を必要としてるサークルは、いくらでもあるんですよ?」
「うん…。それはそうなんだけど…。なんか『赤き星』の人達って、あんまり関わりたくないって言うか…。もうあの人達は放っておこうっていうのが、同好会委員の暗黙のルールになっちゃってるんだよね」
「…」
…ばっかみたい。
だから、あいつら調子に乗って、使い込まれるのよ。
『赤き星』もそれを分かっていて、平気で活動資金を毟り取ってるんだわ。
おまけに。
「ルナさんも、あいつらとはあんまり関わらない方が良いよ。変な思想植え付けられかねないし…。黙って放っておけば、派手なことはしないみたいだしさ…」
「…」
「じゃ、そういうことだから…。あ、今日は特にやることないし、用事がないようなら、もう帰って良いからね」
そう言って、先輩は逃げるように、そそくさと去っていった。
…放っておけば良い?
冗談じゃないわ。
主家への上納金を誤魔化すような、不届きな連中には、それ相応の制裁を加える。
それが、『青薔薇連合会』の掟。
そして私は、ルーチェスを危険な目に遭わせたあいつらを、放置しておくなんて。
絶対出来ない。
「…化けの皮剥がしてやる」
私は学生寮に帰ることなく、再び活動資金報告書のファイルを手に取った。
昨日、私に面倒な書類仕事を任せてきた、先輩同好会委員の学生に。
私は、『赤き星』のことを聞いてみた。
彼らが、明らかに小規模サークルとは思えないほどの活動資金を使っているのは、明白な事実であり。
三年生以上の学生じゃないと入会させないとか、勝手なルールを作っているのも、事実。
当然、同好会委員だって、それくらい把握しているはず。
それなのに、何故それを野放しにしているのか?
その理由を聞きたかったのだ。
すると。
「あー…。『赤き星』ね…」
その名前を出すなり、彼は渋い顔をしてみせた。
「明らかに、活動資金使い過ぎじゃないですか。何で注意しないんですか?」
「うーん…。まぁ、そうなんだけど…」
何。この歯切れの悪い返事。
「あいつらってさぁ…なんか、手出ししづらいって言うか…。前に別の委員が言ったことあるんだけど…。論破されたのか、結局『もう放っとこう』みたいになって…」
…何それ。
一回論破されたら、もう放置で良いの?
そういえば、無駄に言い訳だけはキチンとしてると言うか、悪びれもしなかったもんね。
向こうがあんまり開き直るものだから、こちらも手出し出来なかったって?
馬鹿馬鹿しい。
それでも、本当に同好会委員か?
「でも、不公平じゃないですか。他にも活動資金を必要としてるサークルは、いくらでもあるんですよ?」
「うん…。それはそうなんだけど…。なんか『赤き星』の人達って、あんまり関わりたくないって言うか…。もうあの人達は放っておこうっていうのが、同好会委員の暗黙のルールになっちゃってるんだよね」
「…」
…ばっかみたい。
だから、あいつら調子に乗って、使い込まれるのよ。
『赤き星』もそれを分かっていて、平気で活動資金を毟り取ってるんだわ。
おまけに。
「ルナさんも、あいつらとはあんまり関わらない方が良いよ。変な思想植え付けられかねないし…。黙って放っておけば、派手なことはしないみたいだしさ…」
「…」
「じゃ、そういうことだから…。あ、今日は特にやることないし、用事がないようなら、もう帰って良いからね」
そう言って、先輩は逃げるように、そそくさと去っていった。
…放っておけば良い?
冗談じゃないわ。
主家への上納金を誤魔化すような、不届きな連中には、それ相応の制裁を加える。
それが、『青薔薇連合会』の掟。
そして私は、ルーチェスを危険な目に遭わせたあいつらを、放置しておくなんて。
絶対出来ない。
「…化けの皮剥がしてやる」
私は学生寮に帰ることなく、再び活動資金報告書のファイルを手に取った。