The previous night of the world revolution~T.D.~
電車の車内でも、ルーシッドのボッチ状態は変わらず。

俺は、エリアスと愉快なアルファベット三人組と、絶えず他愛ないお喋りをしていたが。

ルーシッドだけは、一人ぽつねんと立っているだけ。

誰も彼に話しかけないし、ルーシッドも誰にも話しかけない。

あぁ、俺の優しく慈悲深い良心が痛む。

…本当だぞ?

俺はああいう、集団無視みたいな子供じみた行為は嫌いなのだ。

だから、道中は敢えて、ルーシッドの方を見ないようにして。

いざ、講演会場に到着。

「会費は私が代表して払ってくるので、皆さんは受付でチケットとパンフレットを受け取って、会場に入ってください」

エリミア会長が言い、俺達はその指示に従って、ぞろぞろと会場に入っていった。

受付でチケットとパンフレット…ねぇ。

そして、俺はそこで。

多分そうなるだろうな、と思っていた事態に遭遇した。

「こちら、講演パンフレットになります。どうぞ」

「…どうも」

俺に、チケットの半券とパンフレットを差し出した、受付に立っている人物。

見慣れた黒い仮面。

俺達は、受付のカウンター越しに、一瞬だけ、お互いの目を見つめた。

どれほど、声に出して言いたかっただろう。

きっと彼も、俺と同じことを言いたかったに違いない。

…お久し振りですね、ルリシヤ。
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