The previous night of the world revolution~T.D.~
小一時間後。

勇者ルーシッドが凱旋した。

「お帰りなさいルーシッド。あなたは勇者ですよ」

「え?はい?」

「とりあえず、さっきの実況中継録音してるんで、それをつまみにワインでも飲みましょう」

「あ、いや…。その、遠慮します…」

つれない奴め。

勇者格下げだな。

「それより、ルレイア殿」

それよりって何だよ。

「何ですか」

「俺、割と独断で勝手に発言しちゃいましたけど…。良かったですか?あれで…」

「うん。まぁ70点ってところですかね」

「70点…。−30点の要素は?」

それはもう、あれだよ。決まってるだろ。

「まず、もう少し毒舌砲発射しても良かったという点で、−10。次、女に奢らせたという点で−10、あとは童貞という点で−10ですね」

「…童貞関係あります?それ…」

「は?」

今何か言った?

俺の完璧なる採点基準に、何か不満でも?

「え、あ、いや…。あの…それと、帰り際、俺伝票持っていって払ったので、奢ってもらってません。むしろ奢ってます」

ほう。

お前も意外とやるじゃないか。

「じゃあ80点ですね」

「…ありがとうございます」

俺の超優しい採点基準を持ってしても、まだ80点とは。

ルーシッドもまだまだだな。
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