The previous night of the world revolution~T.D.~
これがどういうことなのか、しばし考えた。

「お帰りルーチェス君!」

うん、ただいま。

とりあえず、その格好の意味を教えてもらっても良いかな。

これがもし、世に言う裸エプロン、って奴だったなら。

あぁ、成程今日はそういう趣旨なのね、で納得し。

むしろ、そういうのもアリだなと、喜んでいたと思う。

しかし残念ながら、そんなエロコミック的シチュエーションではなく。

普通に、Tシャツジーンズの上に、エプロンをつけている。

皆さん、エプロンの用途を知っているだろうか。

一般的に世間では、エプロンを、料理のとき使う衣類だと認識されていると思うが。

そして我が家でも、その共通認識は変わらないのだが。

…我が家の妻、セカイさんは。

アンブローシア家において、およそ、料理と呼べないものを作ることで有名である。

…うん。

「セカイさん、怪我はありませんか?」

「ちょっとルーチェス君?それどういう意味?」

「キッチンは?まだ存在してます?」

「ルーチェス君!?どういう意味なの!?ちゃんとあるよ!キッチンあるよ!」

「そうですか。じゃあ、とりあえず調理台とガス台の損傷具合を教えてください」

「何も損傷してないよ!元気いっぱいだよ!」

マジで?

セカイさんが、キッチンを破壊せずに何かを作るなんて。

…。

僕は、セカイさんに近寄り。

彼女の髪から顔、胸、腕、腰回り、足を、順番に触診していった。

「…何やってるの?」

「…本物か…」

「本物かって何!?偽物だと思ったの!?」

「いや、影武者説が浮上してきたんで…」

「本物!本物です!本物のセカイお姉ちゃんです!」

それは良かった。

いや良くない。

うちのセカイお姉ちゃんが、いきなりキッチンを破壊せずに料理をするなんて、どんな天変地異か、あるいは影武者かと思って。

しかし、目玉焼きすら炎上させるセカイさんが、一体何を作っ、

…あ、分かった。
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