The previous night of the world revolution~T.D.~
そして今、私達には。

『帝国の光』を瓦解させ、ルティス帝国の政変を止める為に、うってつけの人物がいる。

『帝国の光』に潜入し、ヒイラの信用を得ているルリシヤを筆頭に。

『ルティス帝国を考える会』に所属するルレイアも、間接的に『帝国の光』との繋がりを持っている。

同じく『帝国の光』と繋がっている『赤き星』も、今はシュノが見張りを効かせている。

いざとなれば、三人共、ヒイラを刺せるポジションにあるのだ。

危険ではあるが、最悪、内部分裂を誘うことだって可能だ。

このチャンスを、好機を、フイにしてしまって良いのか?

勿論、安全第一を考えるなら、今すぐに彼らを撤退させるべきだ。

それは分かっているし、アリューシャもルルシーも、そうすることを望んでいる。それも分かっている。

だがそれは、この好機をみすみす逃すことになる。

そして、安全第一とは言っても。

私達は、既に敵の内部に入り込んでしまっている。

シュノはともかく、ルレイアとルリシヤが心配だ。

ルーチェスだって、今でも「裏切り者」だとして、行方を探されているのだ。

箱庭帝国にいるから、見つからずに済んでいるだけで。

『帝国の光』は、皆が一丸となることを主軸としている組織。

そこから裏切り者が出たとなれば、それも、ヒイラの親衛隊に選ばれた人間が、実は裏切り者だったとなれば。

絶対に、そう簡単に逃してはもらえない。

ルリシヤもルレイアも、ルーチェス同様、徹底的にマークされる。

国内に安全な場所はない。

そして、その裏切り者が『青薔薇連合会』所属の幹部と発覚したら?

私達は、一つの組織として、『帝国の光』と敵対することになる。

ましてや、『帝国の光』は、かつて公然と敵対していた『天の光教』の後継組織でもある。

怒り狂った『帝国の光』が、暴挙に出る可能性も充分にある。

勿論、『帝国の光』ごときが私達に敵対したところで、別段怖くはない。

武力で勝負するなら、帝国騎士団以外に、『青薔薇連合会』の敵はいない。

しかし。

私が恐れているのは、思想だ。
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