The previous night of the world revolution~T.D.~
これで、『赤き星』はおしまいだ。

学内では幅を利かせていようと、一度大学を出たら。

サナミア達は、ちょっとばかり頭の良い、ただの二十歳そこそこの若造に過ぎない。
 
名門大学を、こんな不名誉な形で追い出されることになり、彼らの経歴には大きな傷がついた。

おまけに、私が提出した虚偽の証拠、証言の中には。

「サナミアと共に、別の『赤き星』のメンバーも恫喝に加わっていた」という情報も含まれている。

『赤き星』の党員達は思うだろう。

「誰が、サナミアと共にそんな馬鹿なことをしたのか?」と。

実際は恫喝なんてしていないのだから、皆が「自分ではないのは確かだ。なら、あいつかもしれない」と疑い合うだろう。

彼らにとってみれば、仲間に裏切られたも同然。

この疑心暗鬼による、サークルメンバー同士の内部分裂。

これによって、『赤き星』が解散させられた後、再び結成することを防いだ。

お互いを信用出来ない者同士が、組織化することは有り得ない。

党員同士の絆を断ち切ることで、完全に『赤き星』を崩壊させる。

これが、アイズの考えた作戦だった。

そして、それは見事に成功した。

偽の証拠を携えて、嘘八百を並べ立てるのは、私も緊張したけれど。

それも、こうして報われたのだ。
< 479 / 820 >

この作品をシェア

pagetop