The previous night of the world revolution~T.D.~
私達を苦しめた組織の一つが、こうして瓦解して。

私は、安堵すると共に、なんと呆気ないものだろう、と思った。

結束力の固い組織だって言ってたのに。

実際、彼らの固い結束力のせいで、ルーチェスは、『赤き星』に潜入するにも苦労し。

潜入した後も、ずーっと疑われ続けた。

そうまでしたというのに。

結束力の固い組織の間に、しかし絆はなかった。

…なんて儚い末路だろう。

憐れにすら思える。

私だったら、あんな与太話は信じない。

家族が、およそ有り得ないことをしたなんて聞かされても。

きっと何か裏があるのだ、誰かの陰謀だと疑うはずだ。

だけど彼らは、仲間がそんな馬鹿なことをしたと聞いても、疑わなかった。

私が作った、嘘っぱちの「証拠」に、あっさりと騙されて。

最後まで、お互いがお互いを疑い、憎み合いながら別れていった。

いくら個人の意志が強くても、心の通わない集団の末路なんて、こんなものだ。

だからこそヒイラ・ディートハットは、絶対に信じられる味方にしか、秘密を見せないのだろう。

でも、あなたも愚かだよ。ヒイラ・ディートハット。

誰かの信用を得る為に必要なのは、監視や束縛ではない。

もっと、心の奥底で繋がるものが必要なのだ。

私達が、そうであるように。
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