The previous night of the world revolution~T.D.~
しばし、『青薔薇連合会』から届いたメールを見つめ。

その文面を、何度も読み返していたが。

何回読んでも、中身が変わる訳でもなし。

そして、これを書いたであろうアイズさんの判断が、全く以て、非の打ち所がないほどに正しいのも事実。

だから。

僕も、決断を下さなければならないのだろう。

僕は立ち上がって、ベッドに座ってテレビを眺めていた彼女に、声をかけた。

「…セカイさん」

「…なーに、ルーチェス君」

何となくその声は、これから僕が告げることを、予測しているかのように静かだった。

「非常に言いにくいことがあるんですが」

「ほほう。お姉ちゃんに隠れて、箱庭帝国で現地妻でも作っちゃったかな?」

…。

「…もしそうだったら、セカイさんはどうするんですか?」

現状そんな事態になる予定はないが、今後一切ないとも言い切れないので。

参考までに。

「そりゃもー、怒るよ。何でもっと早く紹介してくれなかったのー!って」

あぁ、そっちですか。

「現地妻を作ること自体には、怒らないんですね」

「だって、ルーチェス君モテるもん。あっちに行けば引っ張りだこ、こっちに行けば引っ張りだこだよ」

引っ張られまくりですね、僕。

幸い、今のところセカイさん以外には、引っ張られてませんが。

「ルーチェス君こそ、私に現地夫が出来てたら、どうするの?」

え?

「そりゃあもう、怒りますよ。もっと早く言ってくれたら、一緒にセカイさんの魅力を肴に、良いお酒を飲めたのに」

「あはは」

何その笑い。

「今でも遅くないんですよ。良ければ紹介してください」

是非とも仲良くなりたい。

セカイさんの良さが分かるなんて、きっと僕と趣味が合うに違いない。

しかし。

「残念ながら、まだそんな相手はいないなー」

「そうですか…。それは残念ですね」

「…それで?」

…。

「言いにくいことって、何?」

セカイさんは、テレビのスイッチを切って、僕の方に向き直った。

微笑んではいたが、目は真剣だった。

…そうですね。

あなたが覚悟を決めてるなら、僕も覚悟を決めないといけませんね。
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