The previous night of the world revolution~T.D.~
「…って、認めるってことは事実なんですね?」

「ぐぬぬ…」

「もらってきたものなら、お裾分けしてもらったものだと、最初から言えば良いものを。そんなエプロンなんて小道具まで使って」

「…」

「そりゃバレるでしょうよ。このスパイスの芳ばしい香り、お隣のフューニャさん…でしたか?彼女確か、鼻の効く一族でしたからね。スパイスの調合は上手いでしょう。素人には真似出来ませんよ」

確か、箱庭帝国の秘境の里出身だっけ。

珍しい出身地だよな。

「しかも、カレーは自分で作ったことにしておきながら、ご飯は炊飯器すら満足に使えないから、チンするだけのパックを買ってきてる。カレーが作れるのに、炊飯器で白米すら炊けないなんて、普通に考えたら有り得ませんよね」

「…」

「以上の点を鑑みて、今日のセカイさんの行動は、非常に浅はか、つまりは浅慮。無駄にプライドと意地だけを張っておきながら、あっさりバレるという無惨な有り様を晒し、完全論破された訳ですが…」

「…」

「…今のお気持ちをどうぞ」 

セカイさんは、ぶるぶると震え。

しばらく痙攣していたかと思うと。

「…うわぁぁぁん!ルーチェス君の馬鹿ぁぁぁ!」

堰を切ったように、半泣きで叫んだ。

こういうときの、セカイさんの顔を見てると。

あー、結婚して良かったな〜と思う。
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