The previous night of the world revolution~T.D.~
…小一時間後。

「はぁ〜…。やっぱりルルシーのご飯が一番美味しいですね〜」

「…そりゃ良かったな」

ご満悦な様子の、ルレイア殿に反し。

「…ん?なんかルーシッド、顔色悪いですけど、何かあったんですか?」

あなたのせいです。

あなたが星付き料理を俺に押し付けてきたので、俺は二人分を頑張って平らげ。

そりゃあ美味しいのは美味しかったですが、胃のキャパシティを越えて、若干今気持ち悪い。

でも、無駄にはしなかったぞ。

食品ロス削減、万歳。

しかし、ルレイア殿を相手に、あなたのせいですよとは言えないので。

「…大丈夫です…」

と、答えておいた。

気のせいです、あなたの気のせい。

そういうことにしましょう。

「お前のせいだろ…」

代わりに、ボソッとルルシー殿がツッコんでくれたので、それで良しとしよう。

とはいえ、そんなド正論は、ルレイア殿には通じないので。

「まぁ良いでしょう。エリュシア」

「はい」

名前を呼ぶなり、スッ、とルレイア殿の下ぼ、いやメイドさんが現れ。

食卓の上を、ササッと片付けてくれた。

その姿は、まさにハーレムの王そのもの。

威厳すら感じる。

これが『青薔薇連合会』の死神、ルティス帝国の歩くエロスと呼ばれた男…。

なんか、最早生きてる次元が違う気がする。

食卓を片付けてくれたかと思うと、人数分の紅茶が出てきた。

勿論、エリュシアさんだ。

ありがとうございます、と言いたいところだったが。

「ご苦労」

の、一言で終わらせた。

褒めてあげれば良いのに…酷い…。

むしろ、声をかけただけマシだと言うのか。そうなのか。

すると、俺が困惑していることに気づいたらしいルルシー殿が。

「…大丈夫だルーシッド。こいつといたら感覚がおかしくなってくるが、世間的には、お前の認識が正しい」

「そ、そうですか…」

良かった。危うく、俺がおかしいのかと思い始めてきたところだった。

やっぱり俺は間違ってないんだ。良かった。

そうだよな。ルティス帝国の全男性がルレイア殿化したら、ルティス帝国は崩壊だ。

「…で、ルルシー」

「あ?」

「今日のニュースは何でしょう」

「あぁ…そうだな、その話をしなきゃな」

あ、ようやく本題に入るんですか。

俺も気になってたんだよ。

「まず一番良いニュースから。お前の弟子が帰国したぞ」

「おっ、ルーチェス戻ってきたんですか?」

「あぁ。今朝方帰ってきたよ」

それは確かに、良いニュースだ。

ルーチェス殿下と言えば、元皇太子で、ルレイア殿の弟子になる為に、王族を抜けた…、

…。

…しかし、ルレイア殿の弟子って、大丈夫か?

こんな人知を超えた人に師事して、ルーチェス殿下がルレイア殿化したら…。

あ、いや、もう殿下ではないのだが…。

最悪、ルレイア殿が二人、ルティス帝国に爆誕することに…。

…あれ?気のせいかな。今、怖気が。

「ちょっと、何ボケっとしてるんですか、ルーシッド」

「え、あ、済みません」

ルレイア殿に叱咤され、俺はハッと我に返った。

済みません。ちょっと、ルティス帝国の未来を憂いていました。

「ルルシーの有り難い言葉ですよ。真面目に聞いてくださいよ」

「は、はい。済みません」

「全く…。これだから童貞は…」

「…」

…童貞、関係あります?それ…。

言い返したら、恐ろしいことになるのは目に見えてるから、言いませんけど…。
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