The previous night of the world revolution~T.D.~
しかし、それとこれとは別の話。

「今回のセカイさんの罪は重いですね」

「あうぅ…」

「お隣さんからのお裾分けを、『自分が作ったものである』と詐称。偽装工作の為に、買っただけでつけた試しのないエプロンまで身につけ、僕を騙そうと画策」

「ふにゅぅ…」

「挙げ句、そんな震える子羊のごとく可愛い顔をして、何とかお目溢しをもらおうとする厚かましさ。これはもう完全にギルティですね。今夜は僕の愛の鞭が火を吹きますよこれは」

「うぅ…だってぇ!」

お、言い訳タイムか。

「一回やってみたかったんだもん!新婚夫婦でさー、奥さんの手作りカレーを旦那さんに食べさせてあげるの!」

そうですか。

「最初はさ、最初はこんな偽装なんてせずに、ちゃんと『お裾分けだ』って言って出すつもりだったんだよ?でもフューニャちゃん家の手作りカレーかって思うと、羨ましいな〜って思ったんだよ〜!」

成程。

犯罪者が稀によく使う、「魔が差した」という奴ですね。

よく分かりました。

「…でも犯罪は犯罪ですから」

「がーんっ」

魔が差した、で全部無罪になってたら、世の中の刑務所はあんなに受刑者で溢れてませんから。

「しょーがないじゃん…。ルーチェス君に手作りカレー食べさせてあげようと思っても、私昔、レトルトカレーでも全部溶けちゃって、よく分かんないものになっちゃったんだもん…」

「…」

レトルトカレーですら失敗するうちの嫁、凄くないですか?

むしろ褒めてもらえません?お宅の嫁凄いね!って。

ありがとうございます。

レトルトカレーが全部溶けるって、それどういう状況?

まぁ、僕はレトルトカレーというものを、生涯食べたことがないので。

それは溶けるものなのだと思おう。そうしよう。

…ともあれ。

「罪を犯した者には、相応の罰が必要ですね」

「えぇ〜?『やれやれ、こいつめ〜』で許してくれないの?」

「無理ですね、僕心が狭いので」

そして何より、僕は「あの」ルレイア師匠の弟子なので。

女性を甘やかすということはしないのである。

従って。

「…折角、使いもしないエプロン、引っ張り出してきたことだし」

「?」

「今晩、裸エプロンで良いですか?」

「え。何そのイメクラ。ルーチェス君はえっちだの〜」

「えぇ。僕にとって『えっち』は褒め言葉なんで。ありがとうございます」

ルレイア師匠の弟子にとって、最高の褒め言葉です。

裸エプロンって、エロコミックでしか見たことなかったから。

実際やってみたらどうなるのか、どんな感じなのか。

予想以上に萌えるのか、予想以上に萎えるのか。

何事も、やってみなければ分からない。

「嫌ですか?」

「嫌じゃないよ〜。セカイお姉ちゃんが、えっちなルーチェス君に付き合ってあげよう!」

「ありがとうございます」

無事、承諾も得られたので。

それじゃ今夜は、初のお楽しみということで。

宜しくお願いします。
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