The previous night of the world revolution~T.D.~
それにしても。

「『赤き星』が瓦解したなら…残るは、『ルティス帝国を考える会』と、『帝国の光』だけですね」

「猿でも分かるようなこと、いちいち口に出して言わないでもらえます?酸素の無駄遣いなんですけど」

「…」

…俺、もう発言を許されてないのだろうか。

いっそ喋らない方が吉なのでは?

しかし、それでもこの場には、救世主がいる。

「こらっ、ルレイア」

「あ痛っ」

ペシッ、とまたしても後頭部をはたくルルシー殿。

「お前な、ルーシッドに毒を吐くんじゃない」

「普通に喋ってるだけじゃないですか〜。俺ほど礼儀正しい大人も、なかなかいませんよ?」

礼儀正しい(当社比)。

「はぁ…。済まんな、ルーシッド。こういう奴なんだ、大目に見てやってくれ…」

「は、はい…。大丈夫です…」

ルルシー殿も、苦労なさってるんですね。

「…で、話を戻すとして」

と、ルレイア殿。

「『赤き星』が瓦解した今、俺達のターゲットは、『ルティス帝国を考える会』と、真打ちの『帝国の光』だけですね」

「…」

「…」

「…何で二人共黙るんですか?」

「…いえ…」

それ、さっき俺が言ったことですよね。

猿でも分かるようなことを言うな、って凄い罵倒されたんですけど。

あなたは良いんですか。はい。そうですよね。

「本ッ当…ごめんな、躾がなってなくて…」

ルルシー殿の、この申し訳無さそうな顔。

「良いんです、あの…。なんか、もう慣れました」

なんて、やり取りをしている間も。

ルレイア殿は、自分の何が悪いのかさっぱり分かってないらしく。

「?」みたいな顔をしていらっしゃった。

さすが、大物ですよあなたは。

「俺は真剣に話してるんですよ。真剣に聞いてくださいよ」

「お前が言うな、お前が」

俺も真剣に話してたんだけどなぁ。

…まぁ、それはもう良い。

それよりもっと、建設的な話をしよう。

「…ともあれ、『ルティス帝国を考える会』は既に『帝国の光』に組み込まれているも同然なので…。実際俺達が相手にするのは、『帝国の光』ですね」

「まぁそうなりますよねー。『ルティス帝国を考える会』でも、募金活動という名の、みかじめ料を徴収され始めてますし」

そうなのだ。

『帝国の光』と提携するなり、待っていたかのように、それは始まった。

「みかじめ料って…。って言っても、結局は募金だろう?本人が出したいなら出せば良いけど、出したくないなら…」

と、ルルシー殿は言うが。

…現実は、そんなに甘いものではない。

「いえ、みかじめ料です。半強制的に徴収されてますから」

「…!自由意志じゃないのか?」

「表向きは自由意志ですよ。とはいえ…『帝国の光』から、わざわざ募金の為だけに人を寄越して、直々に『あなたの善意を待ってます』って言われたら、断るに断れない」

あれを最初に見たときは、俺もびっくりした。

そこまでするのか、と。
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